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星河の覇皇

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第八十三部第三章 今だ目覚めずその十九

「車輪刑とか火炙りとかな」
「残酷なのばかりですよね」
「コーランになる様なな」
 先輩はそれこそと話した。
「そうしたな」
「酷い処刑ですね」
「そうしたので殺してたからな」
「あそこも人のこと言えないですね」
「植民地統治でも酷かったしな」
 魔女狩り以外のことでもというのだ。
「人を生きたまま網の上で焼き肉にしたりとかな」
「それ滅茶苦茶苦しいですよね」
「下から火で焼かれてな」
 そうしてというのだ。
「それで苦しんでじっくりと殺されるんだぞ」
「嫌な死に方ですね」
「猟犬けしかけてずたずたにさせたりな」
「それも有り得ないですね」
「そうしたことをするからな」
 エウロパの者達はというのだ。
「だからな」
「あそこは連合のこと言えなくて」
「それはどうしてかっていうとな」
「コーランみたいに神が死刑の仕方も定めてないからですね」
「死刑なんてな」
 それこそというのだ。
「殺すってなると残酷さが出るからな」
「人間のそれが」
「アッラーはそれを定めて下さったんだよ」
 そうだったというのだ。
「人が残酷にならない様にな」
「アッラーはそこまでお考えですね」
「この世で最も偉大な存在は何か」
「アッラーです」
「そのアッラーが定められたんだ」
 死刑の方法もと言うのだ。
「本当にアッラーは偉大だよな」
「全くですね」
「ああ、それで旅行中な」
 先輩はまた旅行の話をした、自身の趣味であるそれの。
「俺はその時あちこちの美味いもの食うけれどな」
「それが何か」
「アッラーは寛容だからな」
 偉大なだけでなく、というのだ。
「だからな」
「それでなんですね」
「若しもだぞ」
 こう前置きしてだ、先輩は新入りに話した。
「豚肉とか色々あるだろ」
「コーランに定められた食べてはいけないものですね」
「連合の連中は何でも食うからな」
 それこそ四本足のものは机や椅子以外、水のものは船以外、空を飛ぶものは飛行機以外全て食べると言われている。
「人間以外は」
「そりゃ人間は食べないですね」
「幾ら何でもな」
「若し食ったら」
「昔はあったにしてもな」
 人肉食即ちカニバリズムはというのだ。
「餓えていて」
「そうした時は、ですね」
「死体でも何でも食わないとな」
 尚こうした話は死体だけを食べるとは限らない、時には生きている者を殺してそのうえでということもあった。
「死ぬからな」
「こっちがですね」
「餓え死にしてな」
「生きる為には人間でも食う」
「そうした状況って昔はあったからな」
 それでというのだ。
「仕方ないけれどな」
「それでもですね」
「今は普通に食いものがあるからな」
 戦乱が続き他の国と比較して貧しいサハラでもだ、食べるものについては流石に餓えは存在していない。 
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