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仇名の由来

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第二章

「すぐに皆わかるよ、背番号も顔文字もね」
「ああ、顔文字な」
「今それもあるしな」
「ネットってな」
「それでか」
「ネットだとか」
「それもわかるから便利だよ」
 仇名だけでなくこちらの話もするのだった。
「だからね」
「それでか」
「顔文字も勉強出来るし」
「そうしたスレッドもチェックすればいいか」
「それで根室っちは」
「そこもね、やってるし」
 それにと言うのだった。
「歴代の選手の人達もチェックしてるから」
「頭に入ってるか」
「阪神の歴史も長いけれどな」
「昭和十一年創設で」
「それが一九三六年で」
「今も存続しているから」
「全員じゃないけれどね」 
 寿はこのことは無念さを出して言った。
「覚えてるよ」
「成程な」
「そこは本当に根室っちだな」
「流石だな」
「昔の選手の仇名まで覚えてるなんてな」
「伊達に虎キチじゃないな」
 クラスメイト達はこう言って彼を認めた、だが。
 ふとだ、クラスメイトの一人がここで彼に問うた。
「今の監督さんだけれどな」
「岡田さん?」
 寿はそのクラスメイトに応えた。
「あの人がどうしたの?」
「いや、あの人の仇名な」
 今の監督である彼のというのだ。
「どんでんだよな」
「そうだよ」
 寿はその通りだと答えた。
「あの人の仇名はね」
「あれどうしてなんだ」
 こう彼に問うたのあった。
「何でどんでんなんだ」
「ああ、それな」
「変わった仇名だよな」
「あれどういう意味なんだ?」
「物干竿はわかったけれどな」
「天性のホームランアーチストも」
 他のクラスメイト達もそれはと続いた。
「わかったけどな」
「どんでんって何だ?」
「面白い仇名だからすぐに覚えたけれどな」
「如何にも関西らしくてな」
「それで覚えたけれどな」
「何でその仇名だよ」
「これどういう意味だよ」
 そのクラスメイトは寿にあらためて問うた。
「一体」
「ああ、それね」 
 寿はその問いに何でもないという顔で応えた。
「テレビのCMからだよ」
「テレビの?」
「あの人現役時代うどんのだしのCMに出て」
 そうしてというのだ。
「それがどんでんで」
「商品の名前がか」
「うん、それでね」
「それがそのままか」
「仇名になったんだよ」
「そうだったんだな」
「それで今もね」
 現役時代からかなりの歳月が経ったがというのだ。 
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