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神々の塔

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第六話 宿屋と道具屋その十

「濁っていたり不遜に見下していたり卑屈に見上げていたり」
「そうした目やないな」
「そうです、皆さんそうであられるので」
「大丈夫か」
「はい」 
 まさにというのだ。
「必ず。吉報を待っています」
「ほなな」
「ただ何万階もありますので」
 女は塔の高さも話した。
「非常に気を長くしてです」
「先に進まんとあかんな」
「ですが終わりはありますので」
「頂上に着けばやな」
「それで、です」 
「終わりやな」
「そうです」
 まさにというのだ。
「そのことはです」
「事実やな」
「その頂上は天界なので」
「そこを目指してやな」
「進まれて下さい」
「気長にやな」
「諦めず」
 決してというのだ。
「そうされて下さい」
「ほなそういうことでな」
「神霊は試練を与えます」
 女はこうも話した。
「しかしです」
「悪意はないな」
「邪神と言われる存在でも」
 人からそう言われる神霊でもというのだ、女は今度はリーに話した。
「決してです」
「人に悪意はないか」
「人から見ればそうであっても」
 それでもというのだ。
「それぞれの司っているものを動かしているので」
「別にか」
「ありません」
 悪意はというのだ。
「そのことはです」
「わかっておくことか」
「そうです、善神や邪神という区分はです」
 それはというのだ。
「人の判断基準であり」
「神霊から見ればか」
「そうではありません」
「あくまでそれぞれの司っているものを動かしてか」
「働いておられるだけです」
「それは貴女達が仕えている魔神達もか」
 リーはここまで聞いて話してくれている女に問うた。
「魔界の君主である」
「あの方々もです」
「やっぱりそうか」
「悪魔とされて」 
 その君主達とだ。
「キリスト教では神の敵とされていますが」
「別にやな」
「人にも世界にもです」
「悪意はないか」
「ご自身達の信者を求めますが」
 それでもというのだ。
「しかしです」
「それでもか」
「人や世界を滅ぼすつもりはです」
「ないんやな」
「全く、むしろです」
「人や世界をか」
「護ることをです」
 そちらをというのだ。
「お考えです」
「魔神といってもやな」
「左様です」
 まさにというのだ。 
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