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アナザーフィルム

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第二章

「怖い場所なんだ」
「それがイギリスの森ね」
「そして山だよ」
「だからなのね」
「こんなのどかで優しい」
「いい場所はなのね」
「日本ならではだね、勿論山だから」
 トーマスはここで真剣な顔にもなって静香に話した。
「油断は出来ないけれどね」
「自然だからね」
「自然はちょっと油断すると」
 真剣な顔のまま話した。
「牙を剥くよ」
「日本の山でも遭難してよ」
 静香もそれはと応えた。
「命を落とす人いるわよ」
「そうだよね」
「熊に襲われる人だってね」
 今度は野生動物の話をした。
「いるし」
「そう、油断出来ないね」
「やっぱりね」
「そうだね、けれどイギリスの森に比べたら」
「怖い場所じゃないのね」
「そう思うよ、危険な妖精や幽霊もね」
 先程話した様な存在もというのだ。
「いてもイギリスのみたいに怖いのはね」
「いないから」
「昔いた山賊も日本の山賊はね」
「イギリスの山賊よりはなの」
「怖くないかもね、あと魔女も」
 またマクベスから話した。
「いないね」
「日本で魔女は」
 その存在はとだ、静香は答えた。
「全然怖くないわよ」
「そうした存在だよね」
「むしろ楽しいね」
「そうした存在だね」
「面白い魔法を使って箒でお空を飛ぶ」
 そうしたというのだ。
「楽しいね」
「存在だね」
「何で魔女狩りなんてしたか」
 これはイギリスだけでなく欧州全土で行われた、そうして多くの犠牲者が出たことは人類の負の歴史の一ページである。
「わからないわよ」
「あれは色々あったから」
「異端とか異教とか」
「そちらへの警戒がヒステリーになって」
 そうしてというのだ。
「起こったものでね」
「一言では言えないのね」
「そうだよ、けれど日本の森は本当にね」 
 トーマスはあらためて彼女に話した。 
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