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アイビーリーグ

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第三章

「この球場なんだよ」
「甲子園か」
「そうさ」
「野球でな」
「この球場か」
「日本にも蔦があって」
「野球なんだな」
「いい球場だよ」
 笑顔でだ、こうも言ったバッキーだった。
「阪神ってチームもな」
「そんなにかい?」
「入ってよかったよ、何なら試合も観るかい?」
「時間があったらな」
 その時はというのだ。
「観させてもらよ、大阪から来たんだけれど」
「大阪かい?あそこもいいよな」
「面白い街だね」
 記者はバッキーに笑顔で答えた。
「あそこは」
「そうだろ、それで日本にもな」
「蔦があるんだね」
「そうだ、ただアイビーリーグじゃなくてな」
「阪神っていう野球チームか」
「高校野球もやってるよ、それぞれの国に蔦があるんだね」
「そうなんだよ」 
 バッキーは記者にあらためて話した。
「それでそれぞれな」
「あるってことをだね」
「俺も日本に来てわかったし」
「僕もだね」
「わかってくれたらいいよ」
「それじゃあね」
 二人で話してだ、そしてだった。
 記者はバッキーと甲子園のことと阪神のことを聞いた、そして阪神の試合を観たがその後でだった。
 バッキーにだ、こう言った。
「君のピッチングがよかったし」
「パームが特にだよな」
「球場もね」
 これ自体もというのだ。
「最高だよ」
「そうだろ、甲子園はな」
「最高の球場だね」
「それが日本の蔦だよ」
「そういうことだね、じゃあ覚えておくよ」 
 こうも言ったのだった。
「ただもう記者は引退しているから」
「記事には書かないか」
「知り合いに話しておくよ」
「わかったよ、じゃあまた機会があったら」
「会おう」
「そして話をしような」
 バッキーは記者に笑って言った、記者は帰国してから甲子園のことを話した、アイビーグラウンドと。だがこちらは定着しなかった。阪神というチームはアメリカの野球ファンの間で知られているかも知れないが。


アイビーリーグ   完


                        2023・1・12 
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