恋愛スパーク

「これがね」
「もうそう言ってばかりだし」
「頭の中そればかりで」
「見ていてやれやれってなるわ」
「本当にね」　
　クラスメイト達はそんな彼女に呆れるばかりだ、それは部活でも同じで。
　軽音楽部に所属しているがここでもだ。
　彼のことばかり話した、それで部員達も絵里奈に言った。
「いい加減にしなさい」
「最近ずっと松井君のことばかりじゃない」
「付き合っていて嬉しいのはわかるけれど」
「言うことそればかりじゃない」
「いやあ、もうね」
　そののろけきった顔でさらに言うのだった。
「嬉しくて楽しくて」
「全く、あのクールさは何処に行ったのか」
「完全に別人じゃない」
「のろけきって」
「笑顔も緩み切って」
「そう言われてもね、ただ部活は真面目にしてるし」
　実際毎日出ている。
「今度の作詞作曲もね」
「してくれるのね」
「それならいいねれどね」
「私達としてはね」
「そのことは任せてね」　
　笑顔で言ってそうしてだった。
　絵里奈は実際に新曲を作詞作曲した、部員達は彼女がポップスやバラードが好きなので今回もそちらだと思っていた。
　だが完成した曲の歌詞を読んで彼女のエレキギターでの演奏を聴いてだ。
　目を丸くしてだ、こう言った。
「何その曲」
「これまでと全然違うじゃない」
「パンク？」
「それ？」
「いや、もう頭の中にあるものをそのままね」
　絵里奈は驚く部員達に笑顔で答えた。
「曲にしてみたけれど」
「そうしたらなの」
「そんな曲になったの」
「パンクな感じで激しい」
「そんな風になったの」
「もう頭の中こうなのよ」
　今の自分のそれはというのだ。
「嬉しくて楽しくてね」
「何かスパークしてる感じね」
「もう想いで一杯で」
「あれやこれやと想って」
「大変みたいね」
「それで作詞をしてね」
　そこからしてというのだ。
「作曲してみたら」
「こうなったのね」
「これまでのあんたと全然違うけれど」
「そうなったのね」
「そうなの、駄目ならまた作詞作曲するけれど」　
　それならとだ、絵里奈は部員達に話した。