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犬達のお気に入りのおもちゃ

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第二章

「それで今日はね」
「二十六個目ですね」
「それを買ったよ」
「毎度ありです、じゃあまた」
「来るよ、ドリスとね」
 ワトソンに笑顔で言った、そしてだった。
 そのおもちゃを買って家に帰った、シンドラーはその彼を見送ったが。
 その後で今度は茶色の長い髪の毛に細面で黒い目の一八〇位の痩せた男これまた常連のネット関連の仕事をしているニコレット=ジェイムスがだった。
 ラブラドールとロットワイラーのミックスの黒い雄犬のモンドゥ愛犬の彼を連れて店にやって来てだった。
 笑顔でだ、こう言った。
「今日はテニスボールをね」
「買いますか」
「また壊したんだよ」 
 ジェイムスはシンドラーに明るく笑って話した。
「こいつが」
「クゥ~~ン」
 壊したと言われれだ、モンドゥは。
 申し訳なさそうに項垂れた、だがジェイムスはその彼に言った。
「時々だからいいさ、というかおもちゃも壊れるしな」
「まあそれも頭に入れてですよね」 
 シンドラーは家族に優しく言ったジェイムスに言った。
「買ってますね」
「こっちもね、それじゃあ」
「はい、今日もですね」
「もう一つのお気に入りも買うよ」
「オレンジの南瓜のですね」
「ハロウィンのそれもね」
「モンドゥそれも好きですし」
 シンドラーもわかっていて言った。
「それで、ですね」
「買うよ、じゃあテニスボールも」
「わかりました」
 シンドラーは笑顔で応えてだった。
 ジェイムスにそうしたものを買ってもらった、そしてこの日も働いたが。
 若い従業員にだ、彼は話した。
「お客さんが家族の為に笑顔で買ってくれて」
「家族の犬が楽しんでくれる」
「そう思うと自然に頑張れるよな」
「そうですね、それじゃあ今日も」
「頑張っていこう」
「そうして働くことですね」
「ああ、頑張ってくれよ」
 アジア系の日本から留学してアルバイトに来ている彼に笑顔で言った、そしてシンドラーは今日も働いた。客と生きもの達の笑顔を見る為に。


犬達のお気に入りのおもちゃ   完


                 2023・2・25 
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