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星河の覇皇

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第八十三部第三章 今だ目覚めずその十三

「考えてないさ」
「そうですか」
「あと平和になったらな」
 統一してそれによって戦争がなくなったなら、というのだ。今も前線ではと考えつつの言葉である。実際は今の時点ではオムダーマン軍はティムール軍の防衛ラインに攻撃を仕掛けておらずともだ。
「その時はな」
「何処に行かれますか」
「連合にな」
「あの国ですか」
「出来たらな」
 願望としてだ、先輩公務員は新入り公務員に話した。
「連合一周したいな」
「そうしようと思ったら」
「金も時間もな」
「滅茶苦茶かかりますよね」
「連合の人間でもな」
 その国の者でもというのだ。
「凄いツアーになるらしいな」
「一年以上かかりそうですね」
「しかも金もだ」
 時間と並ぶ旅行の問題点であるこのこともというのだ。
「向こうのサラリーマンの一年分はな」
「かかるんですね」
「だからそうそう出来ないらしいな」
「連合ってサハラより旅行盛んですよね」
「観光業も凄くてな」
「そうですよね」
「けれどな」
 それでもというのだ。
「あそこでもな」
「中々ですか」
「無理みたいだな」
「連合一周は」
「広いしな」
 連合という国はというのだ。
「三百以上の国があってな」
「星系も滅茶苦茶多くて」
「そんなのだからな」
「一年以上はですか」
「普通にかかるさ」
 そうした規模の旅行になるというのだ。
「とても、昔読んだ小説の」
「昔の?」
「八十日間世界一周であったな」
「ああ、あの地球を一周する」
「あの小説みたいにな」
「八十日とかですか」
「絶対に無理だな」
 こう言うのだった。
「本当にな」
「あれは十九世紀の本でしたね」
「ヒジュラ歴だと一二〇〇年代か」
「それ位ですかね」
 イスラムの暦ではというのだ。
「大体」
「今より千三百年か」
「千四百年か」
「とにかく大昔だな」
「ですよね」
「そんな頃にある国なんてな」
「サハラにはないですしね」
「アラブもな」
 その頃、十九世紀はというと。
「大変な時代だったな」
「もうイギリスやフランスが偉そうにしていて」
「エウロパの連中がな」
「他人の国で好き勝手やってましたね」
「オスマンも弱くなっていてな」
 オスマン=トルコのことだ、この国は十九世紀に入って近代化を試みたがそれに失敗して欧州の病人と呼ばれる様になっていたのだ。 
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