| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ドリトル先生とタキタロウ

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十一幕その六

「タキタロウのことを聞きましたが」
「肉食ですか」
「そうですか」
「そのことは間違いないですか」
「そして水深三十メートルから五十メートルのところにいて」
 生息場所のお話もします。
「個体数は少ないです」
「そうですか」
「やはり少ないですか」
「そうなのですね」
「鳥達に聞くとごく稀に水面に出て」
 そうだというのです。
「他の湖やお池、川にはです」
「いないですか」
「あくまで大鳥池だけですか」
「ここにしかいないですか」
「わかっている限りでは」
 そうだというのです。
「これが」
「そうですか」
「ではですね」
「タキタロウは大鳥池の固有種ですね」
「そう判断出来ますね」
「そうかと。勿論他の湖沼河川の現地調査も必要ですが」 
 それでもというのです。
「事実目撃例はないですね」
「はい、全く」
「あれだけの大型魚は」
「東北はおろか日本全土でないです」
「北海道でも沖縄でも」
「二メートル三メートルは流石になくとも」 
 見間違いにしてもというのです。
「七十センチ位の淡水魚になりますと」
「鯉や鮒ですね」
「鮒ではかなりの大きさです」
「どちらも一メートルになろうとも」
「これはかなりの大きさです」
「そうです、ですからタキタロウも七十センチか八十センチと考えられますが」
 それでもというのです。
「そこまで大型の魚はです」
「見付かっていないですね」
「東北では」
「そして日本全体で」
「鯉や鮒の他はです」
 大型の淡水魚はです。
「ビワコオオナマズがいますが」
「そのビワコオオナマズも一メートルです」
「このお魚が日本最大の淡水魚です」
「そう考えますと」
「タキタロウは七十センチか八十センチで」
「他の場所にはいないですね」
「わかっている限りではですが」
 先生は皆にお話しました。
「そうだとです」
「思われていますか」
「タキタロウは大鳥池固有の種で」
「イワナ属ですね」
「その大型の亜種であり」
「肉食ですね」
「そうだと考えています、そして個体数はです」
 先生はこちらのお話もしました。
「かなりです」
「少ないですね」
「まさにこの湖だけ棲息していて」
「他の場所には棲息しておらず」
「そしてですね」
「この大鳥池でも個体数は少ない」
「そうした種類です、若し実在が学術的に確かなものとなり」
 そうしてというのです。
「認められると天然記念物にもです」
「すべきですね」
「あまりに稀少な生物なので」
「その為にですね」
「そう思います、保護が必要です」
 先生は断言しました。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧