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星河の覇皇

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第八十三部第三章 今だ目覚めずその九

「皆観るけれどな」
「本当に面白くないからだよ」 
 テレビに問題があるのではない、番組に問題があるというのだ。
「面白い番組作れよ」
「そもそもな」
「そうした奴スタッフにすればな」
「それで違うのにな」
「何でそうしないんだ」
「そもそもな」
 こう話すのだった、そうしてだった。
 彼等は休憩時間の間テレビの面白くなさについて話した、それはそれで熱中するもので彼等は退屈しなかった。
 そうした話をしてだ、その後でだった。
 彼等は仕事に戻った、それが彼等の日常だった。
 オムダーマンでも国民達は日常の中にあった、首都星系でなくなり今は西方の一星系になっているアスランでも。
 国民達は生きていた、ある役所で新入りの公務員がこんなことを言っていた。
「この星系も寂れましたね」
「アスランもな」
「はい、この前まで」
 実にとだ、彼は先輩に話した。
「ここは首都で」
「オムダーマンのな」
「随分とです」
 まさにというのだ。
「賑わってましたが」
「その賑わいがな」
「落ちましたね」
「そうだな、まだこの辺りの中心星系でな」
「交通の中心で」
 かつてのオムダーマン、この国がサハラ西方の一国家であった時に交通の便のよさから首都星系になったのだ。
「それで、ですね」
「繁栄はな」
「してますけれどね」
「首都でなくなるとな」
「その分がたっときますね」
「首都機能は全部あっちにいってな」
 バグダート星系、新たな首都星系であるこの星系にというのだ。
「もうここはな」
「首都じゃなくなって」
「各省庁もあったんだ」
「大統領官邸も」
「その分人が集まってな」
 そしてというのだ。
「賑やかだったな」
「そうでしたね」
「けれどな」
「首都じゃなくなると」
「本当にな」
 それだけでというのだ。
「その分落ちるな」
「そうですね」
「お前の言う通りだよ」
 まさにとだ、先輩は新入りに話した。
「この星系はな」
「賑わいが落ちましたね」
「かなりな」
「首都でなくなった分」
「あれだな、オムダーマンは中央集権だな」
「そうしたタイプの国家ですね」
「そうした国ならな」
 中央つまり首都に権限が集中する国ならというのだ。
「余計にな」
「首都でなくなると」
「賑わいが落ちるな」
「そうですね」
「それは仕方ないさ、ここはサハラ全体から見るとな」
 先輩は新入りに話した。
「オムダーマンは最初サハラの西にあってな」
「それも南西の方で」
「その端でな」
 それでというのだ。 
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