スピナゾンまんじゅう配給所の椿事【完結】
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* エリファスが扉を開けると目の前に螺旋階段が現れた。
「そして、教会として使われていた頃は、この階層の床は絨毯が敷かれていたのではないかと思われます。そのため、現在使われている部屋は全て扉と壁を取り払って大きな空間に改造しています。おそらく、ここは教会として造られたのでしょう。そして、その後、なんらかの理由で建物は使用されなくなり、廃墟となった」「な、なるほどね」俺はうなった。
* エリファスが扉を開けると目の前に螺旋階段が現れた。
「ここを降りると地縛霊がいるのかい?」と俺はエリファスに尋ねた。
「うん、地下一階の最奥部に部屋があるみたい」
「ううむ、一体何者なんだろうね」
「さあね」とエリファスが答える。
「ううむ、怖そうだな」
「さあ、行こう」
俺達はゆっくりと階段を降りていった。
階段はらせん状に下っていくため、途中で何回か踊り場で折り返しながらひたすら降りていくのだ。
しばらく進むと、薄暗い階段が終わり、小さな部屋にたどり着いた。
部屋の中央には大きな机が置いてあり、その上には黒い箱が置かれていた。
「これ、何が入っているんだろう?」
俺はそう言って箱に手を伸ばした。「待って!」エリファスがそう言って俺の手を掴んだ。
「え?」
「開けちゃダメ!」
「あ、うん」俺はびっくりして箱を元の位置に戻した。
「うーん、エリファス教授はどうしてダメなのか知っているんですか?」
とサリーシアが質問する。
「うん、これは呪われた遺物だから」
「呪いの……?」俺は驚いた。
「うん、これは古代の魔導師が作り出した装置なの。でも、これは恐ろしい代物で起動すると周囲の人間を巻き込んで死に至ると言われているのよ」
「ええっ」
「これは、きっと、人殺しのための道具よ」
「そんなものが……」
「だから、絶対に触っちゃだめよ」
「わ、わかりました」
「じゃあ、先に進みましょう」
俺達が扉を開けた時だ。突然、ディック氏があらわれた。「オプス。いい加減に猿芝居はやめてくれないか。グルッペから全部聞いたぞ」
「なっ、何を言い出すの?」
「オプス、お前はエリファスと共謀し、ハルシオン君を殺そうとしたんだろ?」
「ち、違うよ。何を言っているの?」
「オプス教授、本当ですか?」とサリーシアが言った。
「サリーシア君まで……」
「オプス教授、私達はあなたの研究が素晴らしいと思っていました」
「ありがとう」オプスが微笑んだ。
「だからこそ研究に協力しようと思っていたのですが」とサリーシアが言う。
「わかっているよ。君は賢い子だ」
「でも、今回の件で確信しました。あなたは自分の目的のために他人を犠牲にするようなことはしない方だ」
「そうよ、私はみんなを助けたいだけなの」とエリファスが言った。
「エリファス、君がこんなことに協力するはずがない。そう思って君の研究室を捜査させてもらったよ。そうしたら、とんでもないことがわかった」
「ええ?」
「君の部屋からは大量の呪術薬物が見つかった。そのどれもが人を死に至らせる毒薬だ。それに、君の引き出しには大量の解呪魔法陣が隠されていた。おそらく、その全てはハルシオン君を殺すために用意したものだ」
「うそよ!私の大切なお友達を傷つけるなんてできないわ」
「いや、その前にまずハルシオン君を殺す必要があったんだ。だって、ハルシオン君がいなければ、エリファスに全ての罪を被せられるじゃないか」
「なっ」
「君がハルシオン君を殺せば、彼の研究は頓挫してしまう。だから、彼を排除したかったんだ」
「オプス教授……」とサリーシアが呟いた。
「オプス教授、もういいです。俺は大丈夫ですから」とハルシオンが言った。
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