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スピナゾンまんじゅう配給所の椿事【完結】

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オプスがそう言うと、「はい」とエリファスが答える。

「実は、ここから先は行ったことがないんだ」

「えええ?」

「まあ、見ての通り、ここに来ると、どうしても足がすくんでしまうというか、怖いんだよな」

「そんな……」

「だから、頼むぞ」

「ええっ」俺は困ってしまった。

その時だ。突然、壁が吹き飛んだ。

「うわっ」と俺が叫ぶとオプス教授が「うおおっ!」と叫んだ。

「エリファス!サリーシア!」

「エリファス、サリーシア!助けに来たよ!」

壁の向こうからハルシオンとエリファスが飛び出してきた。

「うそ、どうして?」エリファスが驚いている。

「俺が呼んだんだ」と俺は答えた。

「えっ」エリファスは俺を見た。

「エリファス教授が旧寮に閉じ込められたって聞いて、いてもたってもいられなくて」

「うそ……」エリファスは涙を浮かべた。

「エリファス、良かった」ハルシオンがエリファスに抱きついた。

エリファスは「もう、どうしていつもこうなるのよ」と言って笑った。

「よし、これで全員揃ったわけだし、行くとするか」

オプスがそう言うと、「はい」とエリファスが答える。

そしてエリファスは俺の方を向くと「行こう」と言った。

俺達は祭壇に向かって歩き出した。

「この部屋に入るのは初めてですね」「ああ、そうだな」「サリーシアはお姉さんと何を話していたの?」と俺が訊くと「推理です。この事件を仕組んだ真犯人は意外なところにいます」とサリーシアは言った。


「へぇ、どんな風に仕組まれたのかな」
「はい、私はこう考えています。そもそもこの旧寮が建てられた経緯についてですが、実はこの旧寮はもともとは学園の所有物ではありません」「えっ、そうなの?」「はい、ここは元々は王都の貴族の別荘です」
「じゃあ、それを貴族が買い取り、改修したの?」
「いえ、それならば、なぜ、わざわざこのような複雑な設計にしたのか疑問が残るのです」
「うーん、確かにそれはそうだよね」
「そこで、私は考えたのです。もし、改装したのではなく、もともと、こういうデザインの建物であったとすればどうか?例えば増築をしたとか?しかしそれでは建築基準法に違反してしまいます」
俺はちょっと首を傾げたが、すぐに気づいた。
「わかった。わざと古いまま残しておいたんだね」
「はい、つまり、ここが昔、どのような用途で使用されていたかを想像することで、この旧寮の不可解な謎を解くことができるのです。まず、私は当時の建物の設計思想や施工方法について調べました。その結果、ある結論にたどり着きました」
「ふむ」
「当時の建物のデザインはおそらく、現在の旧寮のように天井が高く設計されていました。それこそが建築の基本であるからです。さらに、廊下や部屋の壁は厚い板張りでできており、防音効果が考慮されていました。また、窓も小さくて鎧戸でした。これらの条件から、この建物は舞踏会場か劇場として使用されていたと考えられます」
「うーむ、確かに」
「そして、私が導き出した結論というのは
【差分】
、この建物が元は貴族の別荘では無かったということです」
「うん?」
「つまり、この旧寮はもともと教会だったのではないでしょうか?」
「ええっ」
「私は図書館で資料を漁りました。すると、教会の設計図を見つけたのです。そして、そこから、この建物を『教会』と呼ぶのは間違いだと分かりました。なぜなら、礼拝堂は1階にあって、2階にはなかったからです。そして、この構造から、教会は恐らく3階建て以上の高層建築物だったことが推測できます」
「ほほう」 
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