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X ーthe another storyー

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第七話 沖縄その二

「あいつ幾ら何でも凄過ぎるな」
「成績も抜群だしな」
「特に何もしてないのに」
「隠れて努力してるのか?」
「そんな筈ないだろ」
「東京から来たっていうが」
「何者なんだ」
 こう話した、そしてだった。
 ここでも怖れる者がいた、そのうえでだった。
「おい、嘘だろ」
「ゴールドエンペラー一人で壊滅させた?」
「あの沖縄一のゾクのチームをか」
「嘘じゃないよな」
「幾ら何でもないだろ」
 喧嘩の強さも有名になっていた、しかし。
 自分からは決して喧嘩をしなかった、悪事もせず近寄り難い雰囲気だった。それで余計に噂になった。
「何考えてるんだ」
「普段何してるんだ」
「わからない奴だな」
「不気味だな」
「近寄りにくいな」
「どうしてもな」 
 避ける者が増えた、兎角だ。
 神威はその力を見られかつ怖れられた、そして自分からは決して誰にも近寄ろうとしなかった。それでだ。
 中三の頃クラスメイトの誰にも声をかける者に聞かれた。
「司狼お前人嫌いか?」
「いや」
 神威は率直に答えた。
「別にな」
「けれどいつも不愛想だな」
「そうか」
「表情なくてな」
 そしてというのだ。
「人に近寄らないだろ」
「だからか」
「何かあるんじゃないかってな」
 その様にというのだ。
「思ったけれどな」
「別にない」
 神威はこう返した。
「俺は」
「別にか」
「ただな」
「ただ?」
「東京のことを思うとな」
「ああ、お前昔東京にいたな」
 クラスメイトはこのことを思い出して言った。
「そうだったな」
「今はこっちにいてもな」
「東京のことを思い出してか」
「そしてな」
 それでというのだ。
「考える時が多い」
「そうなんだな」
「それだけだ」
「そうか、東京に帰りたいか」
「実はな、だが帰っては駄目な様な」
 そうしたというのだ。
「思うこともな」
「あるんだな」
「ああ、どうもな」
 それはというのだ。
「俺は」
「複雑だな」
「これが複雑か」
「そう言うのかもな」
 こうしたことを話したりもした、そして。
 高校に進学したが不意にだった。
 家に帰る時に家に火事があった、それで慌てて戻ったが。
 これが運命のはじまりだった、そして今彼は夢の中で丁と会っていた。丁はその中で彼に挨拶を告げた。 
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