ねっけつ!パウマルタン百裂帳!!~時の刻みネギにゅう麵【完結】
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「信じられない」
「私はバルーサ。私は自分の歴史を変えようとしている。そして、お前は私の目的を知っているはずだ」
「……どういうことだ?」
「お前も見ただろう? あの巨大な地震のことを」
「ああ。あれは確か、今から三六五年も前のことだ」
「そうだ。つまり、我々がここに来たのは、その時代からだ」
「……ということは、まさか」
「その通りだ。我々は、過去の世界に来てしまったのだ」
「そんな馬鹿なことがあってたまるか! どうして、こんなことが」
「さあな。とにかく、事実は一つだけだ。我々の世界は、もはや存在しない」
「どうしてだ? どうして、そんなことが分かるんだ?」
「私も、お前と同じように過去に来たからだ」
「なんだって?」
「私は、三七四年前に、この時代に来ていた」
「信じられない」
「信じろ。私は、ここに来る前に、ある男と会ってきた」
「どんな奴だ?」
「名前は、ミスター・クイル」
「そいつは、どこで会ったんだ?」
「場所は、言えない。私も、そいつも、人目につかない場所を選んだ」
「じゃあ、どうして、そいつは生きている?」
「そいつは、死んではいない」
「じゃあ、どこにいるんだ?」
「そいつは、死んだ」
「なんだって?」
「そいつは、もう死んでいる」
「じゃあ、そいつは誰なんだ?」
「そいつは、私の協力者だ」
「じゃあ、そいつは、何者なんだ?」
「そいつは、タイムマシンを作った科学者だ」
「それは、本当なのか?」
「ああ。私が、この目で確かめた」
「じゃあ、そいつの名前は?」
「ミスター・クイル。本名は知らない。彼は、私に名乗らなかった」
「どうして、偽名を使ったんだ?」
「彼は、本名を名乗りたくはなかったのだろう」
「それで、彼はどこにいるんだ?」
「それは分からない」
「彼が死んだら、どうなる?」
「それも不明だ」
「それじゃあ、どうやって、過去に戻ればいいんだ?」
「分からん」
「そもそも、あんたが生きていれば、どうにかできたんじゃないのか?」
「いや、無理だっただろう」
「なぜだ?」
「なぜなら、私には時間がないからだ」
「なんだと?」
「私は、寿命で死ぬことになっているのだ」
「あんたの仲間も、同じ運命なのか?」
「そういうことになる」
「そうか……」
「……」
「……なあ、ちょっといいか?」
「何だ?」
「もしよければだが、あんたはどうやってここにやってきたのか教えてくれないか?」
「……いいだろう。実はだな……」
俺は、彼と出会った経緯を話した後でこれまでのことについて語ってもらった。どうやら、彼の正体は宇宙を旅しているエイリアンだったらしい。しかも、彼は俺の上司によく似た容姿をしていた為、一瞬本人ではないかと思ってしまったほどだった。もっとも、それは単なる思い過ごしだったわけだが……。それにしても、驚いたことはそれだけではない。なんと、彼も俺と同じく時間を遡って来たというのだ。最初は何かの冗談だと思ったのだが、話を聞いているうちに真実だと分かったのでひとまず信じることにした。ただ、やはりどうしても腑に落ちない点があったのでそれについて聞いてみることにした。
「一つ聞きたいんだが、あんたの目的は何なんだ?」
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