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ねっけつ!パウマルタン百裂帳!!~時の刻みネギにゅう麵【完結】

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いつものように学校に行くと、

「おい!待てよ!」と言う声が聞こえてきたような気がしたが、気のせいだと思い直し帰路についたのだった。
その日からしばらく経ったある日の事だった。いつものように学校に行くと、何やら皆がざわついている様子だった為、何かあったのかと近くにいた友人に聞いたところ、何でも転校生が来るという話だった為、どんな子なのかと聞いてみると、
「それがさぁ……可愛い女の子なんだけどね?ちょっと変なんだよね」と言われてしまい困惑するしかなかったのだが、その理由はすぐに分かった。教室に入って来たその少女は、確かに美人ではあったがどこか不自然だったのだ。その理由は彼女の目にあった。彼女の目は左右の色が違っており、右目が黒かったのに対し左目は白だったのである。
「はじめまして」と挨拶した後、彼女は続けた。
「私の目は他の人と違っていますけど気にしないで下さいね?生まれつきなんです」それを聞いて周りが少し騒がしくなる中、彼女は話を続ける。
「それともう一つだけお願いがあるんですけど、聞いてもらえますか?」その言葉に頷くと、彼女は少し恥ずかしそうにしながら小さな声で呟いたのである。それはまるで小さな子供のようで可愛らしかったが、僕にはその言葉を理解することが出来なかった。何故ならそれは、聞き覚えのない言葉だったからだ。
彼女が転校してきて数日後の事だった。その日は朝から雨が降り続いていたため、憂鬱になりながらも登校し教室に入ると、
「おはよう」と言ってきたので僕も返事を返した後席に着くなり授業が始まったのだが、隣の席の彼女が教科書を忘れてきてしまったようで困っているようだったので見せてあげる事にしたのだが、それを見た彼女が驚いた様子で話しかけてきたのである。
「……あれっ!?もしかしてあなたも同じなんですか!?」そう言われて見てみると、
「本当だ……気付かなかった……」と呟くのと同時に気付いたことがあった。それはお互いの教科書が同じだということなのだが、よく見ると名前まで一緒だったのだ。それを見て驚いていた彼女に理由を聞いてみた所、なんでも両親が離婚してしまったそうで、母親に引き取られて名字が変わったのだという話を聞いているとチャイムが鳴ったので急いで準備をしていると先生が入ってきて朝礼が始まり、
「今日は皆さんに新しいお友達を紹介したいと思います」と言った直後、その少女が入ってきたのを見て驚く事になった。なぜならその少女は先日転校してきたばかりの彼女だったからである。驚いている僕達をよそに自己紹介をする彼女だったが、その口から出たのは信じられない言葉だった。
「初めまして、今日からお世話になります『ミサキ』と言います」と言ったかと思うと、
「よろしくお願いします!」と言った途端その場に崩れ落ちるようにして倒れてしまったのだ。慌てて駆け寄る先生を横目に呆然としていると誰かが声をかけてきた気がしたが反応する事すら出来なかった僕はそのまま意識を失ってしまったのだった。
(ここは何処だろう……?)目を開けるとそこは何もない空間だった。
「目が覚めたか?」声が聞こえた方に顔を向けるとそこには一人の老人が立っていた。だが不思議と恐怖心は感じず、むしろ安心感のようなものさえ感じていた。老人は続ける。
「お前さんは何故ここにいるのか分かるかね?」その質問に首を振ると彼は言った。
「そうか……なら教えてやろう……お前は死んだんじゃよ」

「え……?」突然の事に驚きながらも聞き返す。
「……死んだってどういう事ですか?……確か私は学校にいて……それで……」そこまで言うと老人は頷く。
「……思い出したようじゃな」そう言われた瞬間頭の中に記憶が流れ込んできた。そうだ私はあの時教室で倒れて……それで……どうなったんだっけ……?思い出せないまま考え込んでいると彼が話しかけてくる。「大丈夫かの?」心配そうなその声に大丈夫だと答えると再び話し始めた。
「ふむ……それならいいのじゃが……それよりもこれからどうするか決めた方が良さそうじゃのう」そう言うと私に尋ねてくる。
「もう一度聞くぞ?お前さんはこのまま死ぬつもりか?」それに答えることが出来ずにいるとさらに言葉を続ける。「まぁ無理もないじゃろうなぁ……何せ初めての経験なんじゃから当然と言えば当然かもしれんが……」そう言って黙り込んだ後私を見るとこう言った。
「そこで提案なんだが、もし良ければ別の世界で生きてみる気はないかい?」 
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