ねっけつ!パウマルタン百裂帳!!~時の刻みネギにゅう麵【完結】
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教師は娘が切ったのか、髪型を問い詰めるような口調だった。
「君ってさ、実は超能力使えるよね?」って言ったら信じてくれるかって話だよ?うん。その通りなんだよなこれがさ……(笑)つまりそういうことなんだよな……。でもこれは決して冗談とかじゃないからな?本当だからな!?あー!何でそんな冷たい目してるんだ!!……えっ?だって今から言う事全部信じられないような話だし……仕方無いじゃん。まぁいいや、とりあえず僕の身の上話から聞いてくれよ……あっいやいやその前にまず俺の自己紹介からだな。えーと俺は如月真琴って言います。職業?うーん大学生かな。そうそう大学の入学式の時にね、いきなり目の前に黒髪ロングの少女が現れたんだよ!もうそれはそれは可愛くてさ〜!!しかも胸も大きいし顔立ちも良い!まさに理想の女性そのものって感じだったんだけどその子が僕を見て開口一番「私と契約して魔法少女になってほしいんです」なんて言ってきた訳ですよ!!!どう思う?!どうする?!これ!!こんな事ある?!絶対何かあるでしょこれ!と思ったんだけどさぁ。その時僕はこの少女の事を信じた訳よ!なんかすげぇ可愛い子だしさ。そんでもってよく分からないけど、その子は突然光に包まれて消えたわけ。それから一週間後かな?僕にも同じような現象が起こったんですよ!そしたらまた同じ少女が目の前に現れて、契約した時と同じように「魔法少女になりませんか?」なんて言ってくるわけ!そんなの即答するじゃん!?普通!だから当然なります!と返したわけなんだけどね、その後その女の子に連れて行かれたのは廃墟となったビルの中だったんだよねー……。それで色々説明されたあと、「これからあなたの魔法を使いこなさなければいけないからとりあえず戦ってみて!」と言われまして、まあ戦ったんですよ。でも全然勝てなくて結局負けたわけですわ!すると突然少女は言ったのです!「貴方は弱い……もっと強くならなくちゃダメ」とか言い出したんです!んで僕が強くなるために特訓してくれ!と言う前に勝手にどこか行っちゃったんですわ!全く何なんですかあの子は!!!
「さっきの話は本当なのか?その少女とはまさか君の事じゃ無いだろうな?」
「えっ!?違うよ!!僕も最初は夢だと思ったけど、現実なんだ!!」
僕が必死に訴えると、彼は腕を組み何かを考え始めた。しばらく沈黙が続いたあと彼が再び話し始めた。
「実は私はこの前、自分の意思に反して体が動いてしまっていた事があるのだ。それは君も同じではないかと思ってな……」…………ん?どういう事?僕の場合完全に意識はあるし、体を動かすこともできないぞ?むしろ今こうして話してるだけでかなり奇跡的なレベルだし、そもそも喋る事さえ出来ないんだぜ?
「そうだ!君はいつから動けるようになったのかを教えてくれないか!?頼む!」
「えっ、あっうん分かった。僕は気づいたら動けたけど多分生まれた時だと思うよ」
「本当か!じゃあ、さっそく試しに死んでくれないか?」
いきなりどこからともなくバスタードソードを取り出した。本物だ。鋭い。研ぎ澄まされている。うっかり触れば指が取れそうだ。
「えーっと、あの、すみません。この剣を返して欲しいんですけど」俺はそう頼んでみた。だが相手は無言のまま俺に歩み寄り、いきなり俺の頭上から斬り下ろしてきた。もちろん本気だ。俺は慌てて身を屈めた。
危ねえ。
「ほう、かわすか。やるじゃないか」男はニヤリと笑った。そして二撃めが来る。これもギリギリで避けた。三発めの振りおろしを転がって避けることができたが、四発目の突きが俺の右脇腹をかすめて服を破き、その下の肌に傷をつけた。その瞬間、俺の殺意はマックスに達した。「死ねや、ゴルァ」
俺は近くにあったスチール机をぶん投げた。グシャッと嫌な音がして相手の頭が潰れた。しかしその瞬間とんでもない事が起きた。
奴の死体もろとも部屋がぐにゃっと曲がった。気づけば俺はどこかの葬儀場にいた。そして信じられないことに俺の腕に手錠が嵌っていた。遺族の嗚咽が聞こえる。
「謝罪は受け入れてもらえなかったか。そろそろ行こうか」
「待ってください刑事さん」
「何だ」
「最後に家族の顔を一目だけ見たいんですが駄目でしょうか」
「……駄目だね」
刑事は俺の腕を引っ張って出口まで連れて行く。
「おいっ、待ってくれ! いやだっ、嫌だああああぁぁ!」
教師は娘が切ったのか、髪型を問い詰めるような口調だった。
「誰のものだろ。その人のものだ。だから別に、」
「なら、自分のものだから別に」
娘は母親に言い当てられたように、少し怒ったような口調で言うと、母親は「いや、それはでも」と言葉を濁したが、娘の言葉で自分のものではないと言われ、「……ありがとうございます」と礼を述べた。
「お姉さん、もういいから、」母親が娘に話しかける。「ありがとう」
「もう、いいんですよね」
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