ねっけつ!パウマルタン百裂帳!!~時の刻みネギにゅう麵【完結】
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「何度聞かれたとしても答えは変わらない」
「何度聞かれたとしても答えは変わらない」
「つまり、あんたは過去に行けるが、あんただけが過去に戻ることができるということなんだな?」
「ああ、その通りだ」
「なるほどね……」
俺は彼の話を黙って聞いていたのだが、彼の話に出てきたとある人物の名が出てきた時に、ふと疑問を抱くことになった。なので、その疑問について質問をすることにしてみた。
「……ちょっと待ってくれ。確か、過去へ遡ることができるのは、あんただけのはずだよな?」
「そのはずなんだが……何か気になることでもあるのか?」
「ああ、どうやらそうらしい」
「何があったんだ?」
「実は、今あんたが話してくれたことが関係してるんだ」
「どういうことだ?」
「あんたの話の中に出てきた人物が、俺にこの箱を渡した張本人なんだよ」
「なっ!?本当か?」
「もちろんだ。それにあんたは知っているはずだぞ?その人物は俺の名前を知っていたんだから」
「確かにそう言われればそうだな……。という事は、あんたの名前を教えてもらったっていうことか」
「そういうことになるな」
「それにしてもその男、何であんたのことを知ろうとしていたんだろうな?」
「わからない。それにあの男は、自分が未来から来たことを俺に知られるのを恐れてる様子でもあったんだ」
「なるほど。ところでその男の外見とか服装については何も覚えていないのか?」
「うーん。そうだな……黒いスーツ姿だったのは間違いないんだけど……顔に関しては全く思い出せない」
「おいおい。大丈夫かよ?」
「仕方ないだろう。突然目の前に現れたんだから」
「まぁいい。それはさておき……過去へ戻る方法について何か手がかりになりそうなものはあったか?」
「いや、今のところはまだ見つかっていない」
「そうか……それは良かった。もし見つかっていたとしたら大変だったところだったからな」
「そうかもしれない。ただ、あんたが言った通り、過去へ行くためには特別な装置が必要なのは確かみたいだ。それと、過去へと遡るために必要な能力についても教えてくれたんだが、それが何なのかが未だにわからない」
「どんな内容だったんだ?」
「何でも、この世界に存在する全ての物には、全て名前がついているらしいんだ。そして、それをすべて把握できれば、過去の出来事を正確に予測できるようになるらしいんだ」
「なるほどな。だが、あんたはその仕組みが分からなくて悩んでいるわけだ」
「そういうことさ」
「だけど、あんたならきっとできると思うぜ」
「本当か?」
「まあな。なんせ、この世界で一番の天才科学者だからな」
「……褒められるのは嬉しいんだけど、それはちょっと違うと思うんだよなぁ」
「え?だって、この世界のことに詳しいってことは、それだけ色々と発明ができるってことじゃないのか?」
「まあ確かにそう考えることもできるんだけど、実際には、その逆なんじゃないかって思うんだよね」
「その反対?」
「そう。だって考えてもみろよ。仮にこの世界で暮らしていけるとした場合、何かを作る必要なんかあると思うか?」
「……思わないな」
(この世界は科学技術の発達した世界であると聞いている。ならば、何かを作る必要はないんじゃないだろうか)
「だろう。だからこそ俺はこう思ったのさ。もしもこの世界に、俺たち以外の誰かが暮らしているとすれば、その誰かも同じように何らかの道具を必要としてるだろうってな」
「なるほど」
(彼は俺と同じような考え方をしているんだな)
俺はそう思いながらも彼の意見に同意した。
すると、彼は満足そうに笑みを浮かべながらこう続ける。
「だろ?」
どうやら、俺の反応を見て楽しんでいたようだ。
ただ、それも仕方がない事だと思う。なぜならば、今まで出会った人達の中では、俺の考え方に近い考えを持つ人が一人もいなかったのだから。ただ、それと同時に俺は、
「……ああ」
と答えると、彼に笑顔を返した。すると、そんな俺の表情を見た彼も嬉しそうに微笑んでくれたのであった。……
俺達はその後も会話を続けていたのだが、しばらく経つと彼はこんな提案をしてきたのである。
「……おっと、悪いがそいつはまたの機会にしてもらえるか?」
「どうしてだい?」
と聞くと彼はニヤリと笑いながらこちらの様子を窺っていた。……
俺は彼女の言葉に耳を傾けていた。すると彼女は最後にこんな質問をしたのだ。「ねぇ。もしかして過去に行けるって思ってる?」
「もちろんだよ」
と俺は即答すると彼女も嬉しそうに「ありがとう!」と言ってきたのである。……
「そう言えば……俺の名前はなんていうんだい?」
と尋ねると彼は、少し間を空けてから答えてくれた。
「あんたの名前は確か、……あれ、何て名前だったかな?」
「おいおい、自分の名前が思い出せないのか?」
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