ねっけつ!パウマルタン百裂帳!!~時の刻みネギにゅう麵【完結】
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プロローグ
プロローグ 2040年12月10日午前9時23分20秒(現地時間)
「さてと、どうしたものか」
2039年にタイムトラベルを成功させてから3年の月日が経過したある日のこと、アメリカ西部にある田舎町に住んでいる平凡な中年男性のアンドリュー・カーペンターはある問題について頭を悩ませていた。彼の名前はダニエル・ディケンズと言い歳は35歳になる独身の男性だ。普段は真面目に働いているごくごく普通の男なのだがこの日は珍しく仕事を休んで自宅でのんびりくつろいでいたのである。だが、それも午前中だけの出来事で午後になると自宅を出てとある場所へ向かおうとしていたところだったのだ。しかし、その前にやるべきことがある為まずはそれを片づけてしまおうと考えを巡らせていたのである。
というのも、最近近所にできた雑貨屋に行く用事ができたからだ。その店の名は、リバーサイドと言う名前で以前から存在自体は知っていたのだが一度も入ったことがなかった為どんな品揃えなのか気になったという理由から入ってみようと思ったわけである。ちなみに、この店を開店させた理由は店主の趣味が高じてのことだったようだ。もっとも、そのおかげで客入りはそれなりに良いらしく連日盛況だという話を聞いて羨ましく思っていたのはここだけの話であるが……
そんなことを考えているうちに目的地に到着したダニエルが店の中に入るとさっそく商品棚を一通り眺めて回りながら物色していくことにした。その際、店員に話しかけられると丁寧に応対しながら店内を見て回った後で買い物を済ませると帰宅することにしたのである。そして、帰宅した後は購入した商品の入ったビニール袋を片手に家に戻ると早速中を開けて中身を取り出してみることにした。すると、中には様々な種類の酒瓶が入っておりどれを見ても非常に興味深いものばかりだったので思わず目を輝かせてしまうほど興奮してしまったのである。特に気に入ったものについては箱ごと買うことにすると大事に抱え込みながら部屋の中に戻った彼はそのまま箱をテーブルの上に置くことにしたのだった。そして、ソファーに腰を下ろした彼は改めて買ったばかりのウイスキーの銘柄を確かめるべくラベルを眺めていると自然と笑みがこぼれてくることに気がついたのであった。どうやら、想像以上にお気に入りのものを発見したらしく購入を決めた理由を再確認することができたので満足していたのだ。しかしながら、
「いやいや、喜んでばかりはいられないな」
と独り言を口にした途端にハッとした表情になり、急に真剣な眼差しになる。なぜなら、この場にいるのが自分一人だけであるなら良かったのだが生憎そうではなかったからだ。実は、
「何をブツブツ言っているんだ?」
と後ろから声をかけられた為振り返るとそこにいた人物を見てダニエルは驚くことになった。なぜなら、その人物は今朝方知り合ったばかりのある人物だったからだ。
「君は確か……ミスター・クイルだったか?」
「そうだよ。それで、何で俺の名前を?ああ、自己紹介がまだだったな。俺の名前はクライブ・オーウェンス。ミスターでも構わないし、呼び捨てにしてもらってもかまわない。ただし、あまり年齢が離れているような奴に対してはさん付けするようにしているがね」
「なるほど、了解した。ところで、こんな場所で何をしているんだ?」
「あんたと同じようなもんだよ。ただ、俺の場合は自分の意思じゃないんだがな……」
「ということはつまり、誰かに無理やり連れてこられたのか?」
「まあ、そういうことになる。俺はあんたみたいに自由自在に過去に行けないしな……」
彼は俺が持っていたウイスキーの箱に目を向けると、それを指差して聞いてきたのだ。
「その箱はいったい何なんだ?」
俺は彼の質問に答えようとしたのだがその直前にあることを思い出すと、
「……そうだ!忘れるところだった」
と言いながら、手に持ったままのウイスキーの箱を再びテーブルの上に置き、中身を取り出そうとしたのだがその前に聞いておかなければならないことがあったので彼に質問をすることにした。
「一つ聞きたいことがあるんだがいいか?」
そう言うと、
「何だい?何でも答えてやるぞ!」
と胸を張りながら返してきたのだ。どうやら質問には何でも答えてくれるらしいので、遠慮なく聞いてみることにした。その問いというのはもちろんあの事についてだった。というのも、俺は彼からとんでもない事実を知らされることになったからである。
「あんたが俺に声をかけてきた目的を教えてくれないか?それに、どうやって時間を遡行する術を身につけることができたのかについても教えてほしいんだが」
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