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展覧会の絵

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第十七話 死の島その十三

 桶が忽ち熱されそれが鼠達にも及ぶ。そうなると。
 鼠達は熱に慌てふためき逃げようとする。それで恐ろしいことに。
 由人の腹を食いだした。忽ちのうちに今度は腹から激痛が起きる。
 それに悶絶する由人を見下ろしながらだった。十字は感情のない声で述べた。
「鼠達は熱い場所から逃れようとします。即ち」
 この場合は人間の身体だった。
「貴方の中に」
「あがががががが・・・・・・」
「鼠達は腹の中に入りそこで今度は暗闇の中に戸惑いを覚えます」
 そしてそこからもだった。
「貴方の身体の中は彼等によって食い破られていきます」
 生きながらだ。そうなるというのだ。
「これが貴方への止めです。苦痛と恐怖」
 死へのそれだというのだ。
「そして絶望。味わうのです」
「・・・・・・・・・」
 由人は生きながら身体の中を食われていく痛みに身体をのけぞらせて悶絶していた。だが。
 砕かれた両腕両足が車輪にくくりつけられそれで身体全体が固定されているせいで。
 動けなかった。そしてその間にも鼠達は彼の中を食い荒らしていく。
 やがて砕かれた両腕、両脚から鼠達が出て来た。そして。
 彼は己の喉から一匹の鼠、血塗れになったそれが出て来るのを見た。それと共に心臓が食われようとしているのも感じた。これが彼が最後に感じたものだった。
 道の端に捨てられている由人の無残な骸を見て。警官達はまた言うのだった。
「おい、タマも竿も潰してか」
「何で手足潰したんだよ、一体」
「腹からどうなってるんだよ、これは」
「喉から何か出たな」
 死体はまだ道傍に置かれている。その死体を見て彼等は顔を顰めさせていた。
 そしてその骸の顔を見てだ。警官達はこうも言った。
「酷い顔だな」
「ああ、苦悶の顔がそのままだな」
「こりゃ殺してからタマとか手足潰されたんじゃないな」
「生きながらやられたな」
「それで殺されたな」
「どんなえげつない殺し方なんだよ」
 顔を顰めさせてこう言い合うのだった。
「それでこの殺し方はな」
「ああ、間違いないな」
「あの四人の不良を殺した奴と同じだな」
「同じホシだな」
 確信していた。それは何故かというと。
「こんなえげつない殺し方をする奴っていうとな」
「二人もいないな」
「ああ、この世にな」
「ましてや神戸にな」
 二人もいないというのだ。
「だから絶対に同じホシだ」
「ひょっとしたら藤会をやった奴かもな」
「それもかなり怪しいな」
「少なくとも絶対にまともな奴じゃねえ」
 このことは絶対だというのだ。
「何処をどうやったらこうした殺しができるんだ」
「悪魔か?それとも化け物か?」
「一体どんなサイコだ」
「頭がいかれてるな」
「しかもな」
 それに加えてだった。由人のその無残な骸の傍には。
 一枚の札があった。そこにはこう書かれていたのだ。
『あと二人』
「何だこの文字は」
「一体どういう意味だ?」
「あと二人って何だ?」
「犯行予告か?」
 警官の直感でこれはわかった。
「ひょっとしてな」
「そうだよな。それみたいだな」
「というと次は誰が殺されるんだ」
「この理事長とあの四人の接点もな」
 このことはわからなかった。警察では。
「なかったよな」
「ああ、エリート学習塾の理事長とただの不良共か」
「何の接点もないな」
「ああ、どっからどう見てもな」
「それで何だ?」
「この言葉の意味は」
 それは彼等がどれだけ考えてもだった。 
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