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イタリアの忍法でぱっちり治す!ミウダウモンの眼精疲労(WEBスペシャル!)【完結】

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その男こそが織田信長だったのだが、この時の俺には知る由もなかったのである。

その男こそが織田信長だったのだが、この時の俺には知る由もなかったのである。
なぜならその時既に意識を失っていたからである。薄れゆく意識の中で最後に聞いたのは男の叫び声であった。
「うおおおぉぉぉぉーーーーっ!!」
目を覚ますとそこは病院の一室のようだった。起き上がろうとすると全身に激痛が走ったので、そのまま横になっていることにした。しばらくすると看護師がやってきて簡単な検査を受けた後、どうやら脊柱管狭窄症の痛み止めにもらったロキソニン錠の副作用で幻覚がでたらしい。
「それにしても恐ろしい夢を見たものだ」
そう呟いていると医者がやってきたので症状について尋ねたところ、幸いにも軽度のものであったので一週間ほど入院すれば完治する見込みがあるということだったのでほっとしたのだが、そこでふと気になることがあったので聞いてみたところ驚くべき事実が発覚したのである。なんと昨日俺が受けた手術には麻酔が施されていなかったというのだ。つまりあの悪夢のような出来事は全て現実だったのである。それを知った瞬間、俺は愕然としたと同時に激しい怒りを覚えた。何故ならばあの忌まわしき事件がなければ今頃俺は大手を振って天下統一に向けて邁進していたはずなのだから当然である。そのため俺はすぐさま復讐を決意するに至ったわけなのだが、ここで問題が一つあった。俺は脳だけになって水槽に浮かんでいる状態なのだ。
「くそっどうすれば良いのだ!?」
そんなことを考えているうちに時間だけが過ぎていき、とうとう日が暮れてしまったため今日は諦めて寝ることにしたのだが、なかなか眠れないまま朝を迎えてしまった。そして翌朝になっても状況は変わらなかったため仕方なく他の方法を模索することにしたわけだが、いくら考えても答えは見つからなかった。そんな時である突然目の前に神々しい光を放つ球体が現れたかと思うとそこから声が発せられたのである。
「勇者よ、よくぞ参られた」
その声は明らかに目の前の物体から発せられていたのであるが、あまりにも非現実的な光景であったため思わず自分の目を疑ってしまったほどだった。そしてしばらく呆然としていたが我に帰ると慌てて問いかけた。
「お前は何者だ?」
「医者です。さぁあっちの食堂で入所者のみなさんと一緒にレクレーションをしましょう」

「いや違うだろ!!絶対お前医者じゃないよね?ていうかそもそもここ精神科病棟じゃねーし!」
「何を言っているんですか?ここは紛れもなく精神病患者のいる隔離病棟ですよ」
そう言って彼はにっこりと微笑んだ。それを見て俺は確信した。間違いないこいつは狂っているのだと……。だがそれでも一応念のため確認してみることにした。
「ちなみに聞くけどここは何処なんだ?」
すると彼は少し考える素振りを見せた後こう答えた。
「ここは東京都墨田区にある総合病院ですが何かご不満でも?」
それを聞いて俺は絶望した。何故なら俺の記憶では確かに千葉県船橋市の病院で手術を受けたはずなのである。いや栃木県宇都宮市の内科か?うわーっ。もうおしまいだあ。

おわり。
 
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