イタリアの忍法でぱっちり治す!ミウダウモンの眼精疲労(WEBスペシャル!)【完結】
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そして私はその部屋の隅にいる佐々塚を見た。
そして私はその部屋の隅にいる佐々塚を見た。すると佐々塚はその視線に気がついてこちらを見て「ん?どうしました?」と言うのである。しかし私の目は、その佐々塚の姿をとらえてはいないのである。
つまり私の視界の外にある。これはどういう事だろうか?どうやら私の予想通り、この部屋の外から私を観察しているのは間違いないらしいと私は確信したのである。だとすると、私はこれから何をすれば良いだろうか。まずは脱出することだ。しかしどうやって?ドアの鍵穴を見てみるとそこには鍵らしき物は存在しない、だとしたら壁を破壊?それは不可能だと思った。なぜならコンクリートの壁だからだ。するとどうなるだろうか、当然だが出られないことになるだろう、これは袋小路に追い込まれてしまったということだ。
しかし、私は考えた。「そうか、そういうことか」
「どうした?」佐々木は私の方に近づいてきた。私は佐々木を無視して、床に落ちていた石を拾う、そう、これはきっと脱出するためのヒントだ、そしてこの石の重さを考えてみることにする。
石が重いことは容易に想像できる。ということは私の力では持ち上げることすらできないはずだ、でも、もしかしたらという可能性がある以上試す必要があった。私は石を持ち上げてみて少しずらすようにして壁に隙間を作ることを考えたのだ。私はその方法でやってみることにする。
するとどうだろうか。その石は、すっと動くではないか、まるで吸い込まれるように壁に沿って動いたのだ。これではいけない。
今度はその石を少しずつずらすことを試みる。そしてその作戦は功を成して何とかほんの僅かだが空間ができあがった、そこから私は手をねじ込むことに成功するとようやくの事で指を外に伸ばすことに成功したのだった。そして私は息を大きく吐く、しかし私はまだ安心することが出来なかった、なんといってもここから脱出する手段を考えなければならなかったのである。
この狭い部屋では、私を拘束しているロープを引きちぎることは困難に思えた。
となると他に方法はないだろうかと考える。私は再び部屋の中にある物を探し始めた。すると本棚がある。その中に本がぎっしりと詰まっているのである。それを確認すると同時に、先ほどの違和感の正体にも気づくのだった。この狭い部屋のどこを見ても窓が見当たらないのだ。この部屋は完全に密閉されているのである。
その事からもわかる。おそらくあの窓は全て作り物だったのだ、私はそのことに気づいた時、怒りがこみ上げてきたのだった。どうやら犯人は最初からそのつもりでこの部屋に窓を作り出さなかったというわけだ。つまりその窓から出ることは出来ないのだろう。
だとすると、私のやるべき事は一つしかない。そう私は決意した。
そしてその時だった。
「何やってるんだ、橘」
「きゃっ!」突然の声に驚いた。
「何してるんだ?」そう言って佐々木はゆっくりと私の方に向かってくる。
私は言った「あなたこそ何やってるんですか」と聞く。
すると彼は答えた。「何って仕事に決まってるだろ」と佐々木は言ったのである。私は「それは嘘だ、あなたの仕事じゃない。それは佐々塚の仕事です。私を解放してください」と言った。
しかし佐々木は言った。「何言ってるんだ、お前の解放はクライアントからの命令だ」
私は再び聞く「誰ですか?それは」
「それはCIAだ」私は聞いた「どうして私を?」
「金になるからだ」
「お金の為ならお前は平気で国を売るのか」私は怒鳴る。
「何怒ってるんだ」佐々木は不機嫌になる。
私は続ける「私は自分の国の人間を売ってまでお金を稼ぎたくない」
佐々木は不気味に笑い始める「面白い冗談だ」と言って私に近づいてくる。
「近づくな!」私は叫んだ。
佐々木は立ち止まる。「お前は自分が何を言っているのか分かっているのか?」
「えぇ」
「そうか、じゃあ仕方がないな」そう言うと佐々木は再び歩き出す。
「何するつもり?」
「お前は俺のものになるんだ」「は?」
「お前は俺のペットになるんだよ」
「ふざけるな!」
「お前に拒否権は無い」
「嫌だ」
「大人しくしろ」そう言うと彼は私の腕を掴む。
私は抵抗するが、佐々木の手を振り解くことができない。「離せ!」そう叫ぶと、彼は私の腕を掴んだまま走り出す。
私は必死に抵抗するが無駄だった。
私はそのまま部屋の外に出される。そして私は佐々木に引き摺られるようにして連れていかれるのであった。
私は佐々木に連れていかれた先はどうやら倉庫のようだった。彼は私をそこに放り投げると、扉を閉めて鍵をかけた。
私は閉じ込められたのである。
私は辺りを見渡すとそこは薄暗くてよく見えなかった。
「おい!開けろ!早く開けないと警察を呼ぶぞ!いいのか」私は扉をドンドンと叩くが反応はなかった。
「クソッ」私は悪態をつく。
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