イタリアの忍法でぱっちり治す!ミウダウモンの眼精疲労(WEBスペシャル!)【完結】
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感謝の言葉
どうやらこの女は、私を逃がす気は毛頭ないらしく、私の手首を握り締めたまま離さないのだった。
私は言った「痛いから、放してくれない?」と聞くが返事は帰ってこなかった。私は思った。
このまま私をどこに連れていこうというのか、この女の目的が分からない以上は下手に逆らわない方が良いのかもしれない。
そう思っていると私は突然走り出した、それは私の方に向かってくる車が見えたからだ。「危ない!」と私は言うと私は女の手を振り払い彼女の腕を掴むとそのまま彼女を引き寄せる。車は私たちの横を通り過ぎていく。しかし安心はできない。
私は振り返り再び歩き出そうとするが、突然背後に気配を感じ私はゆっくりと後ろを振り返るとそこには先ほどの女性が立っていた。そいつはナイフで自分の頸動脈を切って死んだ。「また会ったな」そう言うと男は去っていった。
私はその場に座り込む、一体何が起きているというのだろうか。
私は自分の部屋に戻ろうとするが、再びあの男に捕まってしまう。
「何やってるんだよ、ほら早く来い」
私は「嫌だ!」と叫びながら必死に抵抗するが男の力は強くて振り解けない、私はその男に無理やり引きづられて何処かに連れ去られてしまうのだった。
私はその男に無理矢理車に乗せられると、私を乗せたまま車を発進させる。どうやら私は逃げられないようだ。
「おい、お前の名前はなんていうんだ」
「私は、橘愛梨奈」
「そうか、俺は、田中裕二だ」
「知ってる」
「何?」
「あなたの顔は、昨日見ましたから」
「そうか、俺の顔を知ってたか、じゃあ話は早いな」
「えぇ、それであなたの目的は何なのでしょうか」
「目的?そんなものは簡単だ。金だよ。お前は金になる」「私を売るんですか?」
「あぁ」
「いくらで?」
「一億だ」
「……」
「嘘だ」
「は?」
「本当は五千万だ」
「ふざけるな!じゃあどうして私を誘拐したんですか?」「残りの五千万はお前の親だからだ。おびき出せと命令された。成功したら残りを貰う約束だ。これで合計一億。クライアントの名前は言えない」「私は、お金に困ってません、帰らせてください」
そう言うと、運転手の彼が答えた。「お前の帰りたい場所はここなんだよ、ここは呉越国、そして俺の国は呉なんだ」彼はそう言って不気味に笑うのだった。「どうも話がおかしい、そもそもここが日本であることに私は疑問を感じるのですが」
「ははっ何を言い出すんだ、おかしな奴だなお前は」と彼が笑い出す、そして「それにお前の帰る家はもうここしか無いんだぞ、諦めろ」
私は車から降りようとするが、やはり扉を開けることはできない。
どうやら窓すらも開かないらしい、つまり閉じ込められていることになる。私は観念するしかなかった、そしてしばらくすると私は気を失ってしまったのである。目が覚めると私はベットの上に寝かされていた、しかしどうにも様子が変だった、部屋が狭いし妙なのだ、そしてその部屋の隅には佐々木さんの姿があった。彼は私が目を覚ますとその事に気づいたようで近寄ってきたのである。
私は彼に言う。「あなたが助けてくれたんですか?ありがとうございます」と感謝の言葉を述べるが佐々木は言う。
「あぁ無事で良かった」と微笑むのであった。しかしどう考えても彼の言葉は不自然であった、何故ならばあの佐々木がこのような優しい声をかけるわけがなかったからである。そこで私には考えつく結論としては夢なのではないかということだ。そういえば佐々塚と海に行って以来私は悪夢ばかり見るようになっている。それもあの佐々塚の奇妙な行動が原因である事は明白であり私はそれをどうにかするために今日、佐々塚に会うことを計画したのである。しかし、今私はその佐々塚の罠にかかってしまい、こうして佐々木に軟禁されてしまっている。そうに違いない。そう考えたところでふと思う、もしこれが佐々塚の仕業ではなく、誰か第三者の手によって行われているものだとしたらどうだろう、その場合考えられるケースは佐々塚の協力者による犯行ということだ。そう考えると私は身震いをした、まさかこんなことが起こるとは思ってもなかったのだ。一体誰が私の監禁を企んでいるのか。しかし私はあることに気がついたのである。
佐々塚の持っていた住所が書かれていた電話番号は携帯用のものだ。
それを考えると、佐々木と私は電話を通じてやり取りをしていたということになる、つまり私の居場所を知っているのは佐々塚だけとは限らないということだ。そうなってくると考えられるのは、佐々塚以外の人間、そう、私を監視している存在がいるということである。そのことに思い当たったとき背筋に寒気が走るのである。私は急いで携帯を探すことにした。しかし、見つからない。そういえば、この部屋の中を見回してみたのだが携帯らしきものが見つからなかったのだ。
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