イタリアの忍法でぱっちり治す!ミウダウモンの眼精疲労(WEBスペシャル!)【完結】
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黙秘権
あの時、俺は佐々木に襲われ、そしてそれを見ていた刑事が佐々塚だとわかった。そして、佐々塚は俺に銃を突きつけながら俺に聞いた。俺は佐々塚の問いに答える。
俺の名前は佐々塚洋治だと。
すると佐々塚は笑いながら言ったのだった。
佐々塚が笑うなんて珍しいこともあるものだと思ったが、そんなことよりも俺は混乱した。
なぜなら佐々塚は俺の名前を知っていたのだから。
俺は言った。
俺は佐々塚だ。
その瞬間、佐々塚は俺を睨みつけた。
俺は、恐怖を感じた。
俺は、殺されるかも知れないと。
俺は、何もかもどうでも良くなっていた。どうせ、俺の人生なんてこんなものだ。もう、いいじゃないか。俺は諦めてそう思った。俺はこうやっていつも人生を諦めてきた。それが俺の生き方だった。
俺はこう言ってやった。
俺は佐々塚だ。
その瞬間、佐々塚の表情が変わった。
そして、俺に言う。
俺のことは忘れるんだ。
そう言うと、佐々塚は俺に背を向けて立ち去ろうとしたので俺は呼び止めた。しかし、振り向くことなく去って行った。
あの後、病院に戻り狩谷刑事に報告したところ、どうやらあの男は逮捕されないらしいということを聞いた俺は安心したが同時に落胆した。どうやらあの男はまだどこかで生きているらしいのだ。しかもそれが誰かはわからないらしいが。しかし、俺はそれについて考えるのをやめた。
俺はこれからどうなるのだろうか? 俺は、どうすればいいのだろうか? 俺は、もう疲れた。
俺は何もかどうでもいいと思っていた。
俺が目を覚ますとそこは病室だった。俺はベッドの上に寝かされていた。俺は起き上がりあたりを見渡した。どうやら病院のようである。俺は病室らしき部屋にいた。俺は窓の外を眺めていた。
俺が入院しているこの部屋の外には廊下があるらしく、その先にはたくさんのドアが並んでいるのが見える。そして、俺の横にもドアがあった。どうやら、隣の部屋に繋がっているようで、そこから誰かが入ってきた。
「佐々塚さん」と看護師が呼んだ。
「はい」俺は返事をした。
「目が覚めたみたいですね。よかったです」
「ここはどこでしょうか?」と俺は尋ねた。
「ここは警察病院ですが、ご存知ですか?」と看護師が尋ねた。
「はい」と俺は答えた「では、あなたは昨日の出来事を覚えていますか?」と看護師は尋ねた。
「いいえ」と俺は答えた。
「そうですか」と看護師は答えた。
「何かあったんですか?」
「実はですね」そういって彼女は説明し始めた。
私は、先ほど起きた出来事を思い出すことにした。確か……そう、私はある男を追っていたのだ。そしてそいつは私の部下によって拘束されようとしていたところだった。男は必死で抵抗して、私に向かって発砲し、そのまま逃走したのだ。その時だった。
突然男が消えた。正確には何か透明な物に覆われたというべきだろうか?とにかく私は男を取り逃してしまったのだ。その後、私は部下の何人かを引き連れて公園に向かい捜索に当たったが見つからなかった。男は忽然と消えてしまったのだ。そして私は、男の身柄を確保しようとしたが逃げられたため、仕方なく本部に戻ってきたのだ。
そのあとは、取り調べを行ったのだが男は黙秘権を行使しつづけたのだそうだ。そして私は今日になって逮捕状の発行手続きを行うために警視庁に向かった。するとそこには佐々塚がいたのである。私の姿を見ると、奴はいきなり殴りかかってきたのだ。私は間一髪でかわし、佐々塚の両手を掴んで拘束しようとしたが、その時、私の足元から黒い影のような物が吹き出してくる。それは佐々塚の周りを覆うように広がったがすぐに消える。何事もなかったかのように再び佐々塚を捕まえようとすると奴も暴れ出した。そのせいで私の顔と腕は怪我を負い、服は汚れ、佐々塚の身体には切り傷やアザができてしまったのだそうだ。しかし私は気にしていなかった。むしろこれはチャンスかもしれないと思っていた。
私は言った。「あいつは何者だ?」
その問いかけに私は少し考えこんだ。確かに気になる点が多いのだ。そもそも何故私が襲われなければならないのか理解できない。もちろん仕事は完璧にやってきたし問題など起こさなかったつもりである。では、どこで恨みを買ったのか、と考えていくとどうしてもわからないのが、佐々塚の存在である。
彼はアルバイトをしていたはずだ。
私が彼のことについて調べたところ、大学四年生の彼が就活もせずに毎日パチンコ三昧だというのがわかった。親が仕送りをしているのなら別に構わないのだがそういうわけでもないらしい。
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