イタリアの忍法でぱっちり治す!ミウダウモンの眼精疲労(WEBスペシャル!)【完結】
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「正直に答えろ」
私は、先ほど起きた出来事を思い出すことにした。確か……そう、私はある男を追っていたのだ。そしてそいつは私の部下によって拘束されようとしていたところだった。男は必死で抵抗して、私に向かって発砲し、そのまま逃走したのだ。その時だった。
突然男が消えた。
正確には何か透明な物に覆われたというべきだろうか?とにかく私は男を取り逃してしまったのだ。その後、私は部下の何人かを引き連れて公園に向かい捜索に当たったが見つからなかった。男は忽然と消えてしまったのだ。そして私は、男の身柄を確保しようとしたが逃げられたため、仕方なく本部に戻ってきたのだ。
そのあとは、取り調べを行ったのだが男は黙秘権を行使しつづけたのだそうだ。そして私は今日になって逮捕状の発行手続きを行うために警視庁に向かった。するとそこには佐々塚がいたのである。私の姿を見ると、奴はいきなり殴りかかってきたのだ。私は間一髪でかわし、佐々塚の両手を掴んで拘束しようとしたが、その時、私の足元から、黒い影のような物が吹き出してくる。それは佐々塚の周りを覆うように広がったがすぐに消える。
何事もなかったかのように再び佐々塚を捕まえようとすると奴も暴れ出した。そのせいで私の顔と腕は怪我を負い、服は汚れ、佐々塚の身体には切り傷やアザができてしまったのだそうだ。しかし私は気にしていなかった。むしろこれはチャンスかもしれないと思っていた。
私は言った。「あいつは何者だ?」
その問いかけに私は少し考えこんだ。確かに気になる点が多いのだ。そもそも何故私が襲われなければならないのか理解できない。もちろん仕事は完璧にやってきたし問題など起こさなかったつもりである。
では、どこで恨みを買ったのか、と考えていくとどうしてもわからないのが、佐々塚の存在である。
彼は最近までアルバイトをしていたはずだ。
私が、彼のことについて調べたところ、大学四年生の彼が就活もせずに毎日パチンコ三昧だというのがわかった。親が仕送りをしているのなら別に構わないのだがそういうわけでもないらしい。
私がそのことを聞いても、本人は一切口を割らなかった。だが、彼と同じサークルに所属している先輩によると、なんでも佐々塚は就職活動をするふりだけしていただけで実際は就職する気はなかったのではないかということだった。しかし佐々塚がどうして急にやる気をなくしてしまったのかについてはわからずじまいで終わってしまったのだった。そしてそれからしばらくして私は彼に小説を書いていることを話したのだっけ?まあ、私はどうでも良かったから詳しくは聞かなかったが佐々塚はそれ以来毎日家に押しかけてきてしつこく小説のことを聞いていたのだな?思い出したよ。
私は改めて質問を返した「どういう意味ですか?」
「君は何を隠そう、あの事件の当事者なのだからな」私は驚いた「え?」「つまりだ、あの事件は君を狙っていた可能性があるということだ」
「ちょっと待ってください!」
私は思わず大声を出していた。
そして考えた、一体何が起きたのだろう?なぜ、佐々塚は俺を襲ったのだろう? それにあの男が言っていた、○○という謎の言葉、俺はそれが誰のことを示しているのか考えていたが、もしかすると俺の名前なのではないか、という疑問がわいてきたのだった。○○とは俺の本名のことではないのか? もし俺が佐々塚の狙いであるのなら? その考えに至った俺は戦慄したのだった。
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俺は病院を出て狩谷刑事と二人で警察署に向かっていた。
「それで、佐々塚さんの具合はどうですか?」と俺は聞いた。彼は俺の肩を借りながら歩いた。
俺は答える、「はい。命に別状はないみたいです。」その答えに狩谷刑事もほっとしたようだったが、「ところでお前、何を隠しているんだ?」と言ったのである。俺は、一瞬ドキッとしたが動揺を表に出さないようにして「はい? なんの話ですか?」と聞いた。すると刑事が続けた「お前が襲った男のことだ」「さぁ……」と答えておいた。すると刑事が急に立ち止まり俺を壁の方に追いやる形になって言う、「正直に答えろ」と言ってきた「刑事さんこそ正直に教えてくださいよ!なんですか!あの人は!?」俺の言葉を聞いて、狩谷は冷静に言う「あの人が誰か、お前は知っているはずじゃないか」刑事は俺に詰め寄るように言った「いいか。俺には嘘をついても無駄だからな」そう言って刑事は俺に近づいてくる。俺の背中に汗が流れるのが感じられた。「な、なんのことでしょう?」俺は言った。
「佐々塚洋治、それが彼の名前だ」
俺は、その名前を聞くと驚きを隠せなかった。「どうしてそれを」
「お前の家にあったパソコンを調べたら、履歴に残っていたんだよ」
「それだけですか?」
「いいや、他にもいろいろとな」
俺は頭の中で整理した。
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