イタリアの忍法でぱっちり治す!ミウダウモンの眼精疲労(WEBスペシャル!)【完結】
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俺と佐々木はその声を聞いて振り向いた。
ただわかることは一つあった。あの男が追ってきているということだ。私は捕まりたくないのだ。だからひたすらに逃げるしかなかった。走って走って、しかし息が上がり、喉の奥から鉄の味がした。足はもつれたし頭はガンガンと痛む。そして私は倒れてしまった。目の前にあるものは空っぽの公園の遊具だけだった。そこに座り込むと後ろから気配を感じ振り返ると刑事がいた。「やっと、追いついたぞ」
俺は死ぬのだと思った。しかし、痛みはない。不思議に思って前を見たらそこには俺がいるのだ。俺はもう一人の俺のほうに向かって言った。「俺、俺、死んじまうのかよ」俺の口から俺のしゃべり方が飛び出すと変な気分だった。
「お前、だれだよ」俺が聞くともう一人の俺はこう言った。「佐々塚。佐々木だ」
俺は俺の名前を名乗ったつもりだった。
すると後ろで狩谷が叫ぶ「動くな!」
俺と佐々木はその声を聞いて振り向いた。
佐々木は言う。「何ですか?! この人、急に飛び掛かってきたので」俺は佐々木にいった。
「おまえも抵抗しようとしただろう!」佐々木も言う「なんなんですか!この人は! 僕、悪くない!」佐々木が叫ぶ。
狩谷は俺を見ながら言った「お前を逮捕に来たんだよ!」「どうして!」佐々木も同じことを叫んだ。俺達はお互いに目を合わせると、佐々木が俺を押し倒してきた。そして彼は言った。「僕の身代わりになってください!」
「はあ?」
狩谷が銃を構えながら言う「おとなしく手を上げろ!」
俺は言われた通りに両手を上げた。もう一人の俺はまだ地面に倒れたままだったが気にしている場合ではなかった。俺が逮捕されればどうなるかわかったもんじゃないのだ。とにかく時間稼ぎをして隙を伺うことを考えた。しかし相手もプロである。簡単にいくとは思えなかった。
俺は言う、「○○の×ページに載っている、○○の件なんですけど」刑事は銃をしまいながら答える、「○○についてはまだ捜査中だから何も話せない」刑事は俺に近づき言った、「ところで、佐々塚君」
俺は答えた。それは、本名であった。
俺のフルネームは、佐々塚洋治
そして、その言葉に俺は絶望した。
何故なら刑事は知っている。俺の名前を。
そして、佐々塚が偽名だとわかっている。
「どうして、名前を知っているんですか?」俺は恐る恐る聞いた。すると、刑事は俺に言った「お前の家にあったパソコンを押収させてもらった」
俺は思いっきり叫んだ「あのPC!俺のなんだが?! どうしてくれるんだよ! 返せよ!」
刑事は俺を落ち着かせるためにか、優しく諭すように答えた。「残念だがあのパソ、は壊れてる。データも消去してある」そういえばそんな話を聞いたことがあるような気がしたが俺にはもう関係のないことだった。なぜなら逮捕された瞬間に全て終わってしまうのだから。「あれ、高かったんだぞ」俺は泣きたくなった。「ああ。すまない」刑事が素直に応じたことで怒りはすぐに収まったが、同時に虚しさと悲しさに襲われた。「あのパソコン、買って一か月なんだぞ。俺だって新しいゲームとかやりたかったのに」俺は呟く様に言うとまた涙が出てきた。それを見ていたのか今度は刑事の方が狼になっていたが関係ないことであった。「悪かったよ。それで、あのパソだが修理に出せばなんとかなると思うのだが」
正直、直っても遅いんじゃないかと思い始めていた。なにしろハードディスクがダメらしいからだ。それを聞いた途端、もう完全に心は折れていた。
俺は何もかもどうでも良くなっていた。どうせ、俺の人生なんてこんなものだ。もう、いいじゃないか。俺は諦めてそう思った。俺はこうやっていつも人生を諦めてきた。それが俺の生き方だった。
俺はこう言ってやった。
俺は佐々塚だ。
俺の意識はそこで途切れた。
目を覚ますと俺はベッドの上に寝かされていた。俺はどうやら助かってしまったようだ。俺は起き上がりあたりを見渡した。どうも病院のようである。俺は病室らしき部屋にいた。俺は窓の外を眺めていた。
俺が入院しているこの部屋の外には廊下があるらしく、その先にはたくさんのドアが並んでいるのが見える。
そして、俺の横にもドアがあった。どうやら、隣の部屋に繋がっているようで、そこから誰かが入ってきた。
「佐々塚さん」と看護師が呼んだ。
「はい」俺は返事をした。
「目が覚めたみたいですね。よかったです」
「ここはどこでしょうか?」俺は尋ねた。
「ここは警察病院ですが、ご存知ですか?」
俺は答えた「はい」
「では、あなたは昨日の出来事を覚えていますか?」
「いいえ」
「そうですか」
「何かあったんですか?」
「実はですね」そういって彼女は説明し始めた。
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