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俺の彼女に手を出すな

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第二章

 やがて家のチャイムが鳴って、玄関の方を通話で観るとだった。
 如何にもチャラチャラした軽そうな外見だけはお洒落な男がいた、その彼がやたらと寧々に対して呼びかけていたが。
 夕実は笑ってだ、通話の前で自分の隣で不安そうにしている寧々に言った。
「じゃあ今からね」
「何とかしてくれるの」
「ええ、こうしてあげるわ」
 寧々に余裕のある笑みで告げてだった。
 夕実は相手に向かってだ、鬼の顔で言った。
「手前誰だ!?」
「えっ!?」
「寧々の今の彼氏だ!寧々は俺の女だ!」
 思いきり怒ってドスの利いた声で叫んだ。
「手出すならぶっとばすぞ!そうされたくないなら出て行け!」
「なっ、何ヤクザ屋さん!?」
「ヤクザ屋さんじゃねえ!俺は空手五段で骨法もやってるんだ!」
 尚夕実が好きなスポーツはテニスである。
「それでいいなら勝負するぞ!いきなりキンタマ潰すがいいか!」
「えっ、キンって」
「そうされたくないならとっとと消えろ!俺が顔覚える前にな!」
「ひ、ひいいいいっ!」
 明らかにチャラチャラしているだけの男は血相を変えてだ。 
 通話のモニターの前から退散した、夕実は暫く後で部屋の扉をそっと開けてそうして寧々に言った。
「逃げたわよ」
「あ、有り難う」
「いやあ、私声低いでしょ」
 礼を述べる寧々に笑顔で話した。
「それでうちの兄貴仕事が工事現場で荒っぽいから」
「そうした口調なのね」
「昔から体育会系で結構ヤンキーも入ってたから」
 それでというのだ。
「兄貴の口調真似たらね」
「そうなるのね」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「こうしたこと出来て得意だから」
「それでなの」
「そう、何度かこうしたことしたことあるから」
「今回もなの」
「出来たの、じゃあね」
「ええ、本当に助かったわ」
「それじゃあね」 
 笑顔のままでだ、夕実は寧々に話した。
「これであいつはもうよりを戻そうって言わないのね」
「ああしたチャラチャラしただけのヘタレはね」
「それじゃあ」
「今度はちゃんとした彼氏見付けてね。何なら紹介するけれど」
「いいの?」
「これからそのお話する?」
「じゃあ」
 寧々はそれならと応えた、そして実際に夕実とそうした話に入った。今度の彼氏は真面目でしかも優しくてだ。彼女は浮気されることなく幸せな恋愛生活を楽しめた。夕実もそんな友人を見てよかったと思った。


俺の彼女に手を出すな   完


                 2023・2・15  
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