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子猿を救ってくれるのは

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第二章

「こちらに保護されたんです」
「そうですか」
「ですが皆いい子で」
 それでというのだ。
「特にマンヌはです」
「いい娘ですか」
「物凄く優しい娘で」
「アヴニにもですね」
「そう接していますね、ですからアヴニは彼女にも懐いて」
 ピロだけでなくというのだ。
「よく背中にも乗っていますね」
「そうですね、今も」
 見ればそうしていた、アヴニはマンヌの背中にしがみついている。
「まさにです」
「母娘ですね」
「そうなっていますね」
「よかったです」
 現場のスタッフは心から言った。
「ピロとマンヌがいてくれて」
「二人のお母さんがいて」
「アヴニは救われました」
「そうですね」
 オルコットもその通りだと答えた。
「お陰で、実はです」
「実は?」
「昨日聞いたんですが」
 こう前置きして話した。
「南アフリカリンボボのあるリハビリ保護区でも」
「こうしたことがあるんですか」
「ベルベットモンキーを保護しますと」 
 そうすればというのだ。
「そこにいる猫達と仲良くなって」
「アヴニの様にですか」
「寄り添ってもらっているそうです」
「そうですか」
「種類が違っても」
「親子や友人同士になれますね」
「そうですね、ではこれからも」
 オルコットはこれ以上はないまでに優しい目で話した。
「アヴニにはです」
「ピロとマンヌがですね」
「お母さんとして一緒にいて欲しいです」
「そうですね」
 現地のスタッフもそれはと応えた。
「願わくば」
「これからもずっと」
「キイ」
「ワン」
「ニャア」
 見れば三匹は今一緒にいた、寄り添い合ってそうしていた。その光景はこれ以上はないまでに優しいものであった。


子猿を救ってくれたのは   完


                     2023・2・15 
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