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星河の覇皇

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第八十三部第二章 撤退の果てにその四十六

「国民の生活を知った」
「戦時下においてどういったものであるか」
「そうした逸話という説もあり」
「その説に従えば、ですね」
「ゴミ箱もまた非常に重要であり」
「そこを漁られることは」
「危険ですね」 
 八条は穏やかだが確かな声で話した。
「連合にとって」
「マウリアはそこまでして我々の技術を盗もうとしていますか」
「そして自国の技術にし」
 そうしてというのだ。
「自分達のものにしてです」
「発展してですね」
「そしてエウロパにもです」
「その技術を渡し」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「連合とエウロパを出来るだけ拮抗させ」
「その間にバランサーとして立ち」
「彼等の利益を得るつもりでしょう」
「そうですね、双方をより対立させ」
「そこでバランサーとして漁夫の利を得る」
「その考えですね」
「国家はその国益を求めます」
 八条はこの現実を話した。
「必ず」
「それは国家として当然のことですね」
「それを放棄するなら」
「国家としてどうかとなりますね」
「それは自然な動きです」
 連合ではこう考えられている、だからこそ連合各国も中央政府も国益を求め時として衝突し合うのである。
「そしてマウリアもです」
「国益を求めることは」
「当然です」
 まさにというのだ。
「それは」
「そうですね、ですが」
「それでもですね」
「マウリアにとっては国益でも」
「連合にとっては迷惑な話ですね」
「エウロパ、敵が強くなることなぞ」
 それはとだ、八条はきっぱりと否定して述べた。
「何があろうともです」
「防ぎたいことですね」
「むしろ彼等をよりです」
 エウロパをというのだ。
「常に引き離す」
「そうあるべきですね」
「そうして彼等が停滞すれば」
「有り難いことですね」
「そうです、ですから」
「エウロパは強くなるよりは」
「弱くなってもらいたいものです」
 まさにというのだ。
「あの国は」
「左様ですね」
「ですから」
 この考えからだ、八条は話した。
「エウロパに技術が流れることは」
「防ぎたいですね」
「何としても、連合という国家の統合に共通の敵が必要であり」
 雑多な国の心を一つにする為にだ、連合共通の敵が必要だというのだ。
「それがエウロパですが」
「敵は強いと困りますね」
「若し我々を凌駕するなら」
 そこまでの力を手に入れられると、というのだ。 
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