| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

超地球救済戦記!断罪王Ω〈オメガ〉~戦争もやめねぇ!環境破壊もやめねぇ!バカで愚かな人類は身長170センチ以下の無職童貞ニートの俺が全員滅亡させる‼~

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二百二十五話  立花キリカ その3

第二百二十五話  立花キリカ その3
断罪王現象。それは、ある日突然、普通の社会人が社会不適合者になってしまう現象である。
この現象により社会不適合者になってしまった人々を国は『断罪者』と名付けた。

石間コウイチが日本リンクマスター協会を去って数分後。
警備員になりすました竹田マサタカは再び、桜原カエデが監禁されている独居房の中にいた。
「先生、石間コウイチに立花キリカの母親についての情報を教えたのはなぜですか?」
「それは、いったいどういう意味?」
「先生は、『来るべき日』のために、先生の元生徒だった立花ユイナの娘であるキリカを仲間に迎え入れようとしている...しかし、石間コウイチがユイナに接触すれば、その策が失敗する可能性は高い...」
「キリカは無意識とはいえ、狂撃波動で、すでに人を殺している...狂撃波動で人を殺した以上、この世界にもう、キリカの居場所はない。だから、ユイナから、母子感染と同じ原理で、私がユイナに与えた狂撃波動の力を受け継いだキリカは必ず私たちの仲間になるわ...」
「うまくいけばいいですが...」
「大丈夫よ...その確信がなければ、コウイチにユイナの情報など与えていない...」
そして、コウイチは立花キリカが母のユイナと暮らしているアパートの前にいた。
コウイチはユイナの家のインターホンを押す。
ドアが開き、ユイナが姿を表す。
「はじめまして、俺はリンクセンター石間の石間コウイチです、すこしお話いいでしょうか?」
石間コウイチの名を聞いて危険を察知したユイナがドアを閉めようとする。
コウイチはドアと玄関の隙間に、自分の足をはさみ、ドアが閉まるのを阻止する。
「娘さんのキリカちゃんが、行方不明になりました」
「うそよ、それが本当なら、まず警察から最初に連絡が来るはず...」
「キリカちゃんは体から狂撃波動を放ちました。だから、この事件について警察はまだちゃんと把握できていません。そんで、リンクマスターの俺が最初に、ここを訪ねてきたということです...」
「そ、そうですか...やっぱり、あの力は娘の中に移動していたんですね...」
「その辺のお話、詳しく聞かせてもらえませんか?」
「どうぞ、入ってください...」
コウイチはユイナの家の中に入る。
室内に飾ってある家族写真はどれも、ユイナとキリカしか、写っていない。
(なるほど...母子家庭か...)
「どうして、俺の名前を聞いた時、扉を閉めようとしたんですか?」
「それについては、最初から説明させていただきます...」
立花ユイナが自らの過去を語りだす。
立花ユイナは交通事故で両親を失い、母親の兄の家に預けられた。
しかし、ユイナは母親の兄から様々な虐待を受けていた。
絶望の日々を送るユイナの前に、桜原カエデが現れた。
ユイナの心の闇を感じ取ったカエデはユイナに、共に世界を壊そうと誘惑する。
この世界に絶望していたユイナはカエデに救いを求めるように、カエデと契約し、カエデの力の一部を自らの体内に吸収した。
ユイナはカエデから授かった狂撃波動を、自分を虐待していた母の兄や、自分に対して敵対的な人間たちに向かって放っていた。
そして、ユイナの狂撃波動を受けた者は皆、地面に頭部を何度もぶつける行動を繰り返し、頭部の損傷により、死亡した。
ユイナは、自分に力を与えてくれたカエデに恩を返すために、狂撃波動をありとあらゆる人々に放ち、断罪者予備群を増やしていった。
ある日、ユイナは自分の体の異変に気付く。
そう、ユイナは妊娠していたのだ。
子供の父親に思い当たる人物は一人しか思いつかなかった。
ユイナを虐待していたユイナの母の兄。
その後、ユイナはキリカを出産した。
しかし、キリカを出産したその日から、ユイナは自らの体の一部であった、カエデから授けられた狂撃波動の力を感じ取ることができなくなってしまった。
そう、ユイナの体内にあった狂撃波動の力は、母子感染を同じ原理でキリカの体内に移動してしまったのだ。
ユイナがそれに気付いたのは、キリカが学校などで問題行動を起こすことを知ってからだった。
「先生と契約したあの日、先生から、石間コウイチには気をつけろと言われました...」
「なるほど、それで俺を警戒していたんですね...」
「石間さんは、キリカをどうするつもりですか?」
「キリカは脳内ではなく、体内に狂撃波動を所有している...」
「脳内と体内で、なにが違うんですか?」
「脳内に狂撃波動を所有していれば、断罪者(社会不適合者)、体内に狂撃波動を所有していれば、異能者です、そりゃあ、狂撃波動を撃てるんですからね」
「キリカを異能者から正常な状態には戻せないのでしょうか?」
「キリカは無意識下とはいえ、狂撃波動で人を殺害している。正常な状態で警察に捕まれば、ミセーネンとはいえ、かなり重い罰を受けるでしょう...とはいえ、狂撃波動が使える今の状態のまま、捕獲・監禁するのは危険すぎる...」
「では、キリカを正常な状態に戻してください、キリカの犯した罪は、元はと言えば、私の罪でもあります...私は娘と二人で罪を償っていきます...」
「では、もし、あなたがキリカの立場ならどうします?」
「そ、それは...」
「キリカはおそらく、先程の話に例えると断罪者であり異能者でもある。常人を超えた異能者として生き続けるか、罪人として刑務所に収監され、出所後は前科者として生き続けるか。キリカはいったい、どっちの人生を選ぶと思いますか?俺がキリカの立場なら、異能者として生き続けます、そのほうが自由で、ストレスも少ない...」
「キリカに...娘に一生恨まれても構いません!ですから、どうか、キリカを異能者から正常な状態に戻してください!」
「わかりました、今回は緊急の依頼なので、依頼料はすこし高くなりますよ...」
「娘を助けてください...」
室内にインターホンが押された音が鳴り響く。
「帰ってきましたね...キリカが...」
石間コウイチは玄関に向かって、歩みを進める。

次回予告 立花キリカ その4
 
 

 
後書き
次回もお楽しみに 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧