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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百三十二話 一同、北に向かうのことその五

「消え去ってしまう」
「復活は最早ですか」
「できなくなる」
 まさにそうなるというのだ。
「ギース=ハワードの様に甦ることはできなくなるのだ」
「ああ、ギースのおっさんな」
 ジャックはギースの名を聞いてだ。納得した顔になり数度頷いた。
「あのおっさんはタフだからな」
「何度も建物の上から落ちておられるのでしたね」
「そうだぜ。二回位な」
 ジャックは問うてきた李に述べる。
「死んでるんだよ」
「それでも生きているということは」
「頑丈だからな」
「それで、ですよね」
「とにかくな。身体さえあれば人は生きられるんだよ」
 ジャックはこう李に話す。
「そういうことになるんだよ」
「しかしだ」
 そのジャックにだ。嘉神が言う。
「肉体はなくなってもだ」
「それもですか」
「そう言うのかよ」
「そうだ。魂は不滅だ」
 このことをだ。嘉神は言ったのである。
「それは何があろうともだ」
「不滅。そうですね」
「よく言われてることだな」
「このことはわかるな」
「はい、知っています。そして」
「俺でも理解してるぜ」
 李とジャックはそれぞれ答える。そしてだ。
 麴義もだ。嘉神の言葉に頷いて言うのだった。
「私もそのことは」
「そうだ。魂は不滅なのだ」
「それはどうしても消えませんね」
「我等四霊の魂も同じだ」
「それもですか」
「そうだ、不滅なのだ」
 そしてだ。嘉神はその同じ四霊の彼の話を出したのである。
「示現もだ」
「あの方もといいますと」
「示現が死ぬ。しかしだ」
「白虎の魂はですか」
「それは娘に受け継がれる」
 そのだ。虎徹にだというのだ。
「そうして受け継がれていくのだ」
「では嘉神さんもまた」
「私も魂も必ず受け継ぐ者がいる」
 朱雀の心、それがだというのだ。
「必ずだ」
「そうなのですか」
「人はそういうものだ。悪しきものもあれば善なるものもある」
「そしてその二つがですか」
「受け継がれるのだ」
「悪も善も」
「そうして人の世は続いていく」
 達観だった。悪も見たからこそ辿り着いた境地だった。
「そして何時かはだ」
「何時かはですか」
「貴殿等がそうである様に」
 また仲間達を見た。そうしての話だった。
「人は必ず善なるものに辿り着く」
「悪を持ちながらもですか」
「そうだってんだな」
 李もジャックもだ。嘉神の話を聞いていてだ。
 しんみりとした顔になった。そうしてだった。
 こうだ。二人共言ったのである。
「少しずつでも前に進む」
「そういうものかね」
「人の歴史を見てみるのだ」
 今度は歴史の話だった。
「悪もある。だが悪は少しずつだ」
「減っていますか」
「下らない戦いは減りその無益さも知っていった」
 こうだ。人の歴史を話す嘉神だった。
「少なくとも私の時代よりもジャック達の時代はいい」
「そうかね」
 ジャックはそう言われてだ。少し気恥ずかしそうに笑って返した。
 
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