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星河の覇皇

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第八十三部第二章 撤退の果てにその十九

「まことに全くで」
「これからですね」
「すぐにはわからないですね」
「どうにも」
「戦術か」
 少佐の階級の者が言った。
「それでは思っても」
「どうか、ですね」
「あまりにも不自然かと」
 少佐は自身の言葉をこう言って否定した。
「これは」
「そうですね、やはり」
「はい、ティムール軍の防御陣地は見事でした」
「全くですね」
「その陣地をどう潜入したのか」
「それは、ですね」
「どの軍でも無理です」
 到底と言うのだった。
「勿論我がタイ軍もそうで」
「中央政府軍もですね」
「はい」
 全く、とだ。少佐は断言した。
「中央政府軍の艦艇のステルス性能は見事ですが」
「それでもあれだけの魚雷を放てるだけでの艦艇を潜入させることは無理ですね」
「あの軍の兵器を以てしても」
 それは到底と言うのだった。
「無理です」
「やはりそうですね」
「はい、ステルス性能に相当特化した」
 少佐は言いつつ考えた。
「そうした兵器があるか」
「幾ら特化しても」
 それでもとだ、大尉は少佐に話した。
「何か不自然かと」
「艦艇にしてはですね」
「私はそう思います、駆逐艦や巡洋艦にしては」
「ステルス性能を特化すれば」
「極限まで高めれば」
 そうすればというと。
「装備がです」
「碌に搭載出来ないですね」
「それで実用化しても」
「それではですね」
「巡洋艦どころか駆逐艦の装備もです」
「搭載出来ないですね」
「しかも速度も」
 これもというのだ。
「連合ではまず防御力と攻撃力、それにダメージコントロールですが」
「そして電子ですね」
「それに射程に。そうしたものに重点を置き速度は二の次ですが」
 そうした設計思想でもというのだ。
「ですが」
「あまりにも速度を否定しますと」
「もうそれで、です」
 その時点でとだ。大尉は少佐に話した。見れば大尉は白人の血が感じられ目も群青色だが少佐はかなり純粋なタイ系の顔立ちだ。やや中世的な印象もある。
「どうにもならない兵器になります」
「装備は軽く」
「そして速度は遅く」
「しかも防御力や電子設備も」
「最悪ダメージコントロールもです」
 こちらのこともというのだ。
「全て犠牲にした」
「どうにもならない兵器になりますね」
「そんな兵器を実用化しても」
 ステルス性能のみを追い求め敵に発見されない様にしてもというのだ。 
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