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博物館の闇

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第三章

「これはです」
「本物だね」
「そうかと」
「私もそう見ているよ、これこそね」
「主のですね」
「本物の聖骸衣だよ」
 コネリーも言い切った。
「紛れもなくね」
「恐ろしいものがありますね」
 スウィストは表情を変えていない、だが顔に汗を出しつつ述べた。
「これはまた」
「これもだがね、これもね」
 ここでだ、今度は。
 コネリーはある刀日本刀を指差して話した。
「これはね」
「日本刀ですか」
「にっかり青江といって」
 それでというのだ。
「恐ろしい逸話がある妖刀なんだよ」
「日本では祟る武器があると聞きましたが」
「これがね」 
 コネリーは暗い顔で述べた。
「まさにね」
「妖刀ですか」
「そうなのだよ、行方がわからないとされているが」
「この博物館にですか」
「実は保管されているのだよ」
「そうだったのですね」
「そしてこれは」 
 今度はだった。
 コネリーはある服を指差した、それは血染めの中国の古代の皇帝が着る服だった。
「煬帝の服だよ」
「あの隋の二代皇帝ですか」
「大運河を築いて」 
 そうしてというのだ。
「無理な出兵を行ってね」
「隋を滅ぼす要因を作った皇帝でしたね」
「その皇帝のだよ」
「服ですか」
「だから黄色いんだよ」
「中国では黄色は皇帝の色でしたね」
「その黄色でね」 
 それでというのだ。
「この豪奢さでわかるね」
「波の貴族のものではないですね」
「そう、科学的な検証もしたらね」
「中国のその時代のものでしたか」
「七世紀初頭の。煬帝は自分を護っている兵に叛乱を起こされ殺されたが」
「まさにその時の服ですか」
「そうだよ、これはね」
「こんなものもあるんですね」
「そしてこれは書物だけれど」
 今度はそれだった。
「ネクロノミコンだよ」
「あの、それは」
 スウィストはその単語自体に眉を顰めさせた。
「ラグクラフトの創作で」
「そう言われていたね」
「言われていたというと」
「実在したんだよ」
 コネリーは真顔で答えた。
「これがね」
「そうだったのですか」
「そしてこれがそのネクロノミコンの原本だよ」
「言い伝えにあった」
「そうだよ」
 まさにというのだ。
「これも失われたとあったがね」
「この博物館にですか」
「十九世紀アラビアで発見されて」 
 そうなりというのだ。
「そしてだよ」
「今ここにですね」
「あるんだよ」
 こうスウィストに話した。
「これがね」
「恐ろしいことですね」
「まだあるよ、悪魔の正しい出し方を書いた書もあるし」
 これもというのだ。 
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