夜勤族の妄想物語 3.異世界ほのぼの日記~日本に似て便利な世界でぷらぷら生活~
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㉙
前書き
未だに東側の出入口は開放されていた。
-㉙会合の結果-
東側の出入口が開放されて数日、街中の人口密度が一時的に上昇しているこの状況に光がやっと慣れてきた今日この頃、街の掲示板に一際目立つ貼り紙が掲示されていた。
『-ネフェテルサ国王・獣人族・鳥獣人族主催 ネフェテルサロックフェス 今年も開催-』
お堅い仕事に就きながらロックが好きな上に全人類平等を日々主張しているこの国の国王が街中に住む獣人族と鳥獣人族と協力して毎年開催しているフェスだそうだ。光の知り合いではパン屋のウェインと、マック・キェルダの双子の兄妹が、新聞屋のナルとバンドを組み参加を表明していた。
そんな中、未だ東側の出入口からは上級魔獣や上級鳥魔獣がカードを提示して街に入って来ていた。どうやら今回のロックフェスは彼らの為のイベントらしく、各々に属する者たち同士の交流を主な理由としているものだった。
光がパン屋での仕事を終えると東側の出入口の手前でウェイン、マック、そしてキェルダが誰かを待っている様だった。
光「ねぇ、ナルと待ち合わせ?」
キェルダ「ああ、光ちゃんか。じつはもうすぐあたいら3人の叔父さんが来ることになってんだよ。」
光「えっ・・・、3人?!マックとキェルダが双子の兄妹なのは知ってるけど。」
ウェイン「俺、こいつらの兄貴なの。そんで俺ら全員鳥獣人族だから。」
光「なるほどね・・・、でも鳥獣人族だったら東側の出入口でなくても入れるんじゃない?」
マック「俺らの叔父さんはコッカトリス、上級の鳥魔獣なんだ。」
すると、一際煌びやかな翼を羽ばたかせ1匹のコッカトリスが出入口の守衛にカードを提示しスーツ姿の男性に化けて街に入って来た。男性が兄妹に近づいて声を掛けた。
男性「皆久しぶりだな、迎えに来てくれたか。」
3人「デカルト叔父さん、待ってたよ。」
ウェイン「今日はこの後予定あるの?」
デカルト「もうそろそろ迎えが来ていると思ったんだが。そう言えばそちらの方は?」
光「吉村 光です、3人とは同じパン屋でお仕事頂いております。」
デカルト「光さんか、よろしくね。」
すると、街中に真っ黒で長いリムジンが入って来てまさかの国王が隣のバルファイ王国の国王と降りてきてデカルトの元にやって来た。
国王「先輩、こちらにいらっしゃいましたか。」
デカルト「おう、エラノダ。やっと来たか、早速行こうか。」
隣国王「とりあえず早く会合を終わらせましょうよ。」
意味が分からなくなっている光を横目にデカルトは国王達とリムジンに乗り込んだ。光は3人に説明を求めた。
ウェイン「俺ら・・・、一応・・・、王族なんだわ・・・、東側で上級魔獣と獣人族で成り立つダンラルタ王国の・・・。」
光「何だそれ・・・、世間せまーい・・・。」
ただ言えるのは未だに国王間での会合が終わっていないという事だ。その原因の1つが東側の出入口にあった。
実は東側の出入口から街の外側に出たすぐそばに上級魔獣達の為に意見箱が置かれておりその中で『出入口の永久開放』を求める意見が目立っていたのだ。この事でダンラルタ国王のデカルトを迎えて国王同士が話し合う必要があると考え出入口の開放期間を待っていたそうなのだ。
国王達は走り屋問題で話し合っていただけではなかったらしい。
マック「俺たちは獣人・鳥獣人族が街で友好な交友関係を維持できるようにパン屋で仕事しつつちらほら見回りを行っているんだ、他の人にはくれぐれも内緒にしといてね。」
夜9時を過ぎ、地元のテレビ放送で突如緊急ニュースが流れた。
キャスター「番組の途中ですが、ここで緊急ニュースをお知らせします。数日間に渡り行われていた国王同士の会合におきまして『出入口の永久開放』案が『今まで通り必ずカードを提示する事』を条件に可決されました。」
その後、東側の出入口の門扉が取り外され数十年に渡る上級魔獣族、そして上級鳥魔獣族の隔離が幕を下ろした現場が生中継されていた。その周囲で人間に化けた上級魔獣や上級鳥魔獣たちが歓声を上げていた。その後、デカルトがカメラに向かい声高らかに言った。
デカルト「皆さん、5日後のロックフェスは皆さんで楽しみましょう!!」
後書き
国王の会合では思った以上に深刻な問題を話し合っていた。
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