| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

X ーthe another storyー

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四話 神犬その七

「僕もそう思います」
「そやな、それで戦いやが」
「水が入りましたね」
 空汰に微笑んで述べた。
「僕は水使いですが」
「ははは、水使いだけにか」
「お水のことには敏感でして」
 それでというのだ。
「この度はです」
「水が入ったさかいか」
「はい、再びですが」
「また今度やな」
「そうしましょう、では空汰君も嵐さんも」
 彼女にも声をかけた。
「この度はこれでということで」
「これでやな」
「またお会いしましょう」
「ほなな」
「はい、また一緒に食べましょう」
「今度はきつねうどんどないや」
「いいですね、関東のおうどんはお口に合いますか?」 
 遊人は空汰に気さくに尋ねた。
「あちらの方にはと思いますが」
「何かつゆが黒いんやったな」
「真っ黒ですが」
「それで味もやな」
「辛いと思いますが」
「まあ美味しいとこあったら紹介してくれるか?」
「調べておきますね」
 これが遊人の返事だった。
「そちらも」
「ほな頼むわ」
「では今度はこちらも連れてきますので」
「合わせて四人でやな」
「食べましょう」
「そうしよな」
「ではまた」
「会おうな」
 二人で手を振って別れた、それが終わってだった。
 空汰と嵐は道の上に降り立ったがここでだった、嵐は空汰に顔を向けて彼にこんなことを言ったのだった。
「親しいのかしら」
「仲は悪くないな」 
 空汰も否定しなかった。
「一緒に食ったんはたまたま相席になってな」
「それでなの」
「そやけどな、お互い悪い印象はないわ」
「そうなのね」
「敵同士でもな」
 それでもとだ、空汰は話した。
「嫌いかっていうと」
「そうではないのね」
「嬢ちゃんも悪い印象受けんかったやろ」
「ええ。特にね」 
 嵐もこう答えた。
「そうだったわ」
「敵同士でもな」
「天の龍でも地の龍でも」
「悪い人やないことはな」
「わかるのね」
「結局あれや」
 空汰はこうも言った、二人で神威の下宿まで歩きつつ。
「人にはそれぞれの考え立場があってな」
「正義もなのね」
「それぞれや、それでや」
「あの人は地の龍として戦っているのね」
「わい等は天の龍でな」
「それぞれの立場で」
「それで敵同士やけどな」
 それでもというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧