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星河の覇皇

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第八十三部第二章 撤退の果てにその四

「何があろうともな」
「戦争の外道でもね」
「外道もいいところだ、ソ連軍なら疲労している軍隊をだ」
 さらにというのだ。
「前線に立たせてだ」
「倒れてもですね」
「倒れる傍からな」
「軍隊を送っていきますね」
「文字通り過労て倒れた兵の身体を踏み越えてだ」
 その様にしてというのだ。
「やはり疲弊した兵達がな」
「進んでいきましたね」
「そうして損害を無視して攻撃を仕掛けてだ」
「勝利を目指していましたね」
「防衛でも同じだ」
「如何に損害が出ようとも」
 その損害を無視してというのだ。
「その場所を守り抜かせる」
「疲れた兵達で」
「最後までな」
「そうした軍隊でしたね」
「これは他の国では出来ない」 
 全くとだ、中佐は言った。
「どの時代のどの国でもな」
「損害を度外視した戦術戦略は」
「勝利を収めても」
「後が大変なことになる」
 そのソ連の様にというのだ。
「人口が減ってな」
「特に従軍した世代が」
「サハラでは女の将兵は少ないが」
「それならそれで、ですね」
「男がいなくなる、妻は四人まで持っていいが」
 イスラムの教えでは、というのだ。
「しかしだ」
「四人の妻を持ってもですね」
「男が足りない様になることもだ」
 そうした事態もいうのだ。
「有り得るからな」
「ああしたことは普通にはですね」
「出来る筈がない」
 到底という言葉だった。
「疲労も損害も無視した戦術戦略はな」
「出来ないからこそ」
「それはせずにな」
 それでというのだ。
「適度な休養もだ」
「摂っていきますね」
「全員な、寝ない者より寝る者の方が働ける」 
 中佐はこうも言った。
「そうだな」
「はい、今の話の通りに」
「疲労は蓄積していくからな」
「だから疲労をですね」
「最初からだ」
 まさにというのだ。
「蓄積させないことだ」
「それも大事ですね」
「そして食事もだ」
 こちらの話もだ、中佐はした。レーションを食べているがその食べる速さはかなりでもう相当に減ってしまっている。
「しっかりとな」
「はい、食ってこそ」
「身体はなか」
「もちます」
「そうだ、こちらも同じだ」
「食わない兵よりもですね」
「食っている兵の方がだ」
 そちらの方がというのだ。
「強い」
「これも自明の理ですね」
「スパルタは兵達に大食は許さなかったが」
 それでもというのだ。 
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