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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝

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第29話 因果応報、狩られる者達 前編

麗羽達と合流した私達は賊が居ると思われる場所に向かおうとしました。

ですが、揚羽の提案で、待ち伏せをすることになりました。

揚羽に言わせると、賊が居るか確証できないのに、その場所に攻め入るなど下策だそうです。

やっぱり私はこの手の策謀は駄目です。

揚羽以外にも頼りになる軍師をもう1人獲得したいです。

揚羽は優秀ですが、今後、彼女1人では負担が大きくなると思います。

言い軍師はいないでしょうかね。

今、程昱と郭嘉は旅に出ているでしょうか?

出ているのならスカウトして見るのも悪くないです。

麗羽に関しては、いずれ荀彧が仕官するので問題ないです。

荀溿も今の麗羽になら愛想を付かすことはないと思います。

後は、田豊、沮授、郭図、張を探し出して仕官させればいいと思います。

「正宗様、何してますの?賊退治に行きますわよ」

麗羽が私に声を掛けてきました。

「ああ、分った。直ぐいく」

斗詩には、私達の荷物もあるので、村で留守番をして貰うことにしました。

村からは楽進、李典、沙和の3人以外に、50人が参加しました。

その50人の手には鎌や鍬、斧、弓などを持っています。

弓を持っているのは、その内10人位です。

農民なので、武器と呼べそうなのは弓くらいです。

李典のドリルはこの時代明らかに不自然です。

誰も違和感を覚えないのが理解できない。

「なんや私の螺旋槍をジッと見て。どないしたん劉ヨウ様?」

私が李典の武器を凝視していたので、彼女が声を掛けてきました。

「李典、君の武器が凄かったので見入ってしまったんだよ」

「見るもんが見ると判るもんやな。これ凄いやろ。ウチが作ったんやで。楽進も沙和もウチの武器の良さが判らんのや」

李典は自分の作成した武器が褒められたことを喜んでいました。

「実は私も武器を自前で作成しているんだよ」

「へー。劉ヨウ様の武器は槍やけど、それ自分で作ったん」

李典は私が手に持っている武器を興味深そうに見ている。

「これじゃないんだ。李典と一緒で絡繰の武器なんだよ。今は村に置いてきているので、この賊退治が終わったら見せてあげるよ」

「劉ヨウ様も絡繰りが好きなんっ!でも、なんでその武器を持ってこんかったん?」

「威力は抜群だけど、私が持ってきた分だけでは、効果が低いから持ってこなかった」

「ふーん、まあ、ええわ。じゃあ、帰ったらみせてなっ!楽しみやわー」

李典は上機嫌のようです。





楽進の話によると村が襲撃を受けたのは1週間程前の深夜で、賊は村の北側にある森から現れたそうです。

賊達は略奪を行った後、同じ森の中に戻って行ったそうです。

賊達は略奪した食料が無くなったら、また来ると言っていたそうです。

揚羽はその情報を元に、森の中を調査して、賊の通った場所を見つけました。

その場所に沿って罠を張ることになりました。

揚羽の罠の概略は、森に入った賊を火計で焼き殺し、それから逃れた賊を各個撃破するというものでした。

私はこの火計で気になることがありました。

揚羽に、森を火計の場にして、今後の村人の生活に支障ないのかと聞きました。

揚羽は渋い顔をしていましたが、村人達は生活に困るかもしれないが、賊に怯える生活よりましだと口々に言いました。

村人達の同意を得、火計の準備に移ることにしました。

私と楽進、李典、于禁は火計の準備を揚羽達に任せ、揚羽の指示に従い、村側の森の入り口とは反対側に移動しました。

私達は身を隠せそうな岩場を見つけ、賊が来るのを待つことにしました。

私達の役目は火計で動揺した賊達を後方から襲撃することです。

揚羽の話では夜までには火計の準備が終わると言っていました。

私達は身を隠し、じっと監視していました。

夜になっても何もおこりません。

結局1日目は空振りに終わりました。

翌日の深夜になると、賊達が現れ続々と森の中に入っていきました。

私達は火計の始まるのを今か今かと待ちました。

賊達が森の中に入りきって、暫くして村がある方角の森の辺りが爛々と燃えていました。

夜なので火の明かりが良く目立ちます。

火計が始まったと思った私達は、森の中に入って行きました。

賊達が森の奥から必死な顔で逃げたしてきました。

私は双天戟を構え、振雷・零式を放ち賊達を焼き払いました。

その後も、賊を森の奥に押し込めるべく、振雷・零式を放ち続けました。

森の奥からは、火計に嵌った賊達の絶叫が聞こえます。

火計を初めて体験しました。

まさに、地獄です。

森の奥では火に逃げ遅れた人間が火だるまになって転げ回っています。

村側の森の入り口は完全に火が回っていると思います。

火の回りは早く、かなり近くまで回っているように思います。

賊達はまだ、こっちに向かって逃げてきます。

早く終わらせないと、私達まで火に巻き込まれます。

私は振雷・零式を放つのを止め、双天戟で賊達を殺すことにしました。

賊を草を刈る如く、止めを刺して行きます。

火計の恐怖に動揺している賊など敵ではありませんでした。

彼らは逃げることで頭が一杯で、武器など持っていないものが殆どです。

楽進、李典、于禁は私の強さに驚いています。

「何を突っ立ている!今、賊達を皆殺しにしなければ禍根を残すぞ!」

私は賊を殺す手を止めている3人に対し、怒声を浴びせました。

「すいません!」

「そうや、こいつらを退治せんと」

「ごめんなのー」

私の怒声に我に返った3人は、賊を殺すことに専念しました。

戦闘は数時間に渉りました。

火の手の回りが酷くなり、仕方なく森の外に出ようとしたとき、1人の男が逃げてくるのを見つけました。

「あいつ!賊の頭です!」

楽進はそう言うと、その賊に向けて拳を向けました。

私はそれを制止し、賊の頭を生け捕りにしました。

「何故です。こいつは私達の村を襲撃して、村の者を殺戮したのですよ」

楽進は私が止めに入ったことに反対しました。

「そうや、そうや」

「そいつは殺さなくちゃいけないのー」

李典、于禁も駆け寄ってきて、私に猛抗議します。

「こいつの扱いは私に任せてくれ」

私は3人に対し、有無を言わさないという態度で一言告げると、賊を気絶させ連れて行きました。

その後も、3人は私に賊の頭を殺させてくれと何度も抗議を言ってきました。

私は何も応えず、気絶した賊の頭を引きずっていきました。
 
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