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ハッピークローバー

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第五十八話 祭りが終わってその八

「休んでもね」
「いいわよね」
「芥川って収入あったのよね」
「やっぱりね」
「あっ、朝ご飯にバナナ食べることあったそうよ」
 富美子は収入と聞いてこのことを話した。
「当時バナナって滅茶苦茶高価だったけれど」
「今じゃ滅茶苦茶安いけれどね」 
 一華はこう返した。
「けれど昔の日本だとね」
「メロンと並ぶかその次位に高かったのよ」
「メロンが死ぬ人が食べる様なもので」
「もうね」
 それこそとだ、富美子は話した。
「とんでもないね」
「ご馳走だったわね」
「それを朝に普通に食べていたから」
「芥川って収入あったのね」
「それもかなりね」
「それじゃあよ」
 一華は富美子の話を受けてあらためて話した。
「もうね」
「休めばよかったわね」 
 かな恵はまた言った。
「そうよね」
「ええ、何年でもね」
「収入あるなら」
「ご家族も大丈夫なら」
 その収入で養えるならというのだ、尚芥川は自身が自殺してからもその印税で家族を養っている。そこまでの作家であったのだ。
「それならね」
「もうね」
「思い詰めるよりも」 
 そのうえで自殺するよりもというのだ。
「思い切ってよ」
「休んで」
「ゆっくりしてね」
「英気を養ってね」
「もう頭の中をからっぽにしてもいいし」
「ゆっくり休んでね」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「またよ」
「書けばよかったわね」
「そう思うわ」
「やっぱりそうよね」
「あれっ、何かね」 
 理虹は自分のスマートフォンで検索してから言ってきた。
「芥川って結核だったみたいよ」
「えっ、そうなの!?」
 一華は理虹のその言葉にかなり酔いながらも驚いて応えた。
「あの人結核だったの」
「何か坂口安吾は梅毒になってたとかも書いてたみたいよ」
「どっちも死ぬ病気よね」
「当時はね」
 ペニシリンがなかったからだ、これが出て来るのは第二次世界大戦直後のことである。ここから多くの人命が助かることになった。
「そうよ」
「じゃあどのみち」
「長生き出来なかったかもね」
「そうなのね」
「太宰も結核だったみたいね」
 理虹は彼のことも検索して述べた。
「それで自殺する直前かなりね」
「進行してたの」
「それでもうどっちにしてもね」
 自殺せずとも、というのだ。
「長くなかったみたいよ」
「そうなのね」
「芥川にしてもね」
「じゃあ休む、休筆しても」
「どっちにしてもよ」
「長生き出来なかったのね」
「そうみたいよ」
 こう一華に話した。 
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