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異世界ほのぼの日記~日本に似て便利な世界でぷらぷら生活~

作者:佐行 院
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前書き
 林田は重い口を開き記憶を辿った。 

 
-⑯林田と光の記憶-

 林田は深くため息を吐き語りだした。

林田「私が新人警官の頃です、その頃警察署長をしていた先輩と暴走族の摘発を行ったんです。日本のとある山で警察に協力的な2台の走り屋と共に暴走族を追い込んで逮捕した事があったんです。その2台のうち1台が赤いスポーツカーに乗った当時・・・。」
光「『赤鬼』って呼ばれていたんですよね。」

 林田は驚いていた。まさかと思っていた事が事実だと発覚し始めたので驚愕していた。ネスタは3人分の皿を洗っていたが手を止めて聞いていた。

光「今は事情があって別姓を名乗っていますが、私は『赤鬼』と呼ばれていた走り屋、赤江 渚(あかえ なぎさ)の娘です。生まれる前に父を亡くし女手一つで育てられた私は母とよく夜の峠を攻めていました。ただ、本能のままにではなく警察署長に依頼されてでした。当時、様々な峠で違法な暴走族や走り屋の摘発に協力していた母は私を連れ2台で警官のいる場所まで犯人たちを追い込んで逮捕するまでを見届けていました。ある日、いつも通り警察署長の依頼で走っていたら車の整備不良が原因でコーナーを曲がり切れず峠から車ごと落ちて亡くなりました。母の車は無残に潰れ、母は即死だったそうです、あの車は決して裕福とは言えなかったのに必死にお金を貯めてくれた母からの最初で最後の贈り物で形見なんです。
あの日も私は母の遺志を継ぎ警察署長の依頼を受け夜の峠を攻める予定でしたが昼間に熱中症で倒れそのまま亡くなり、この世界に転生してきたんです。その時にあの車を持ってきて地下に格納しました。」(※『赤江 渚』については私の「私の秘密」をご参照ください、作者より。)

人の死に直面した時の話は涙なしに聞けないと言わんばかりに林田は涙を流しながら光の過去の話に聞き入り流れる涙を右手で拭い重い口を開いた。

林田「そんな事があったんですね・・・、後ほどお母様の御仏壇に手を合わせてもよろしいでしょうか。」
光「勿論、ありがとうございます。それと・・・。」
林田「捜査へのご協力感謝します、ただ無理はなさらないでください。明日日時が決まればまたご連絡いたします。」

 林田夫婦は渚の仏壇に手を合わせた。その後ネスタと光は家庭菜園で水やりをし、林田は携帯で先程の話をこの国の警察署長に話していた、そして光が操作に協力してくれるという事も。
 電話の向こうで警察署長は涙を流していた、そして林田と光の提案に賛成した。時刻は午前11時を迎えようとしている、光と林田夫婦は気晴らしに買い物に出かける事にした。明るい日差しの元、街中の店の前には賑やかな市場が展開されている。林田は光に串焼きを勧めた。霜降りがとても美味そうな牛肉の串焼き。光は口いっぱいに頬張った。さっきまでのしんみりとした雰囲気が噓のようだ。串焼きを美味しそうに頬張る嬉しそうな笑顔を哀愁のある優しい顔で眺めている。
 買い物を終わらせ車からはみ出しそうな量の荷物を積んで光の家へと向かった。ゲオルの店で購入したビールを1缶渚の仏壇に供え3人で手を合わせた。林田は光、ネスタ以上に長く拝んでいた、それ位今回の事件解決への熱意と渚への敬意の想いが強かったのだろう。

林田「光さん、許してくれとは決して言いませんが聞いてください。渚さん、いやお母さんが亡くなったのは私の所為です。私はお母さんが亡くなったあの事件でお母さんに依頼をした警察署長でした・・・。誠に・・・、申し訳ございませんでした。」
ネスタ「あ・・・、あなた・・・。」
林田「左側のヘッドライトに刻まれた稲妻のデザインを見て、思い出しました。あれは間違いなく・・・、『赤鬼』の・・・、お母さんのマークでした。また会わせてくれて・・・、ありがとう。生きててくれて・・・、ありがとう・・・。」
光「林田さん!!母は決してあなたを恨むような事はしなかったはずです、原因は整備不良でしたから。証拠品だって見つかっているんです、ネジが1本外れたまま放置されていましたから。」
ネスタ「今日は良い日になったじゃない、2人で渚さんを囲んで楽しく呑んだら?」
光「私は林田さんが良かったら。」
林田「私たちの家ですぐに準備しよう、渚さんの好物を沢山作って。」

 光は林田夫婦と一緒に2人の家へと向かった。改めて市場へと向かい大き目の白身の魚を沢山買った。市場の人に脂のりの良い物を選んでもらって。その魚で刺身や薄造りでのしゃぶしゃぶを用意し日本酒の熱燗を準備した。
 林田は先日、光の家に来た時一緒だった警官に就業時間を聞いた後、今後の為になる話をしながら呑むから合流するようにと指示を出した。
 2時間後、マイナーと名乗ったその警官はビールを持って現れた。光は渚が生前ビールも好きだった事を話し歓迎した。マイナーは林田から渚の話を聞いてずっと泣いていた。光は林田とマイナー、そして勿論ネスタに親近感が湧いていた。 
 
 

 
後書き
 事件解決への誓いや結束が固くなった一晩だった。 
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