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夢幻水滸伝

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第二百七十七話 ニューヨーク州統一その十三

「そのうえで敵を降らせることがな」
「ニューヨーク州の街や村が全て降ったのは」
 戦なくというのだ。
「それはです」
「わしに戦っても勝てへん」
「そのことがわかったからで」
 先に話したこのことをまた話した。
「そこにです」
「わしの人格やな」
「それを見てです、ですがお二方は戦については」
「エミリーちゃんは個人での戦闘はかなりやが」
 星の者達の中でもというのだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「ああ、采配になるとな」
「やはりメルヴィル様には劣りますね」
「そうなるな」
「それで、です」
 メルヴィルにさらに話した。
「あの方々はです」
「二人共か」
「どうしても従わない街や村も出て」
 そうなってというのだ。
「それで、です」
「戦もしたか」
「そうかと、戦はです」 
 これはというと。
「準備だけでも時間がかかりますね」
「相当にな」
「しかも戦自体も」
「時間がかかる」
「左様ですね」
「それも終わった後の処理がな」
 所謂戦後処理がというのだ。
「二人共わしと同じで降ったら許すにしても」
「壊れたものの修繕、修理や傷付いた人達への手当て等」
「何かとな」
「やることがありますね」
「そやからな」
 そうしたこともあってというのだ。
「ほんまにな」
「戦はですね」
「金もかかるしな」
「時間もですね」
「かかる、使う労力も半端やないし」
「行うとですね」
「あれだけ大変なもんもないわ」
 こう市長に話した。
「わしは六将星やさかいな」
「戦のそうしたこともですね」
「わかってるつもりでな」
「今その様に言われますね」
「そや、それでな」
「お二方はですか」
「二人共武名はわしに劣るだけあってな」
 このことが原因でというのだ。
「やっぱりな」
「降る勢力が少なく」
「わしかて州の全部の街や村が戦わずして降るとは思わんかった」
「そうなので」
「戦をせなあかん時もあってな」
 軍を集め動かしてというのだ。
「それでや」
「時間もかかったのですね」
「そや、わしよりな」
「そうなのですね」
「統治能力はボームはわしより少し下位やが」
 メルヴィルは政の話もした。
「戦をするとな」
「その分ですね」
「時間を食う、それでや」
 その為にというのだ。
「遅れた、それでや」
「メルヴィル様は先に進めた」
「州の統一でもな、ほなその先に進めたことを活かして」
 そうしてというのだ。
「ここはや」
「ニュージャージー、コネチカット、バーモントの三州をですか」
「先に掌握するで、そうしてな」
「勢力を今以上に拡大し」
「そしてや」 
 そのうえでというのだ。
「二人と向き合うで」
「わかりました、ですがお二方が攻めて来れば」
 市長はその場合のことも話した。
「どうされますか」
「その時は退ける」
 返答は一言だった。
「それでや」
「戦ってですか」
「そうする、ええな」
「わかりました、では」
「そっちの備えもするで」
 こう市長に話してだった。
 ニューヨーク州を統一したメルヴィルは今度は周辺の三つの州の掌握にかかった、彼の頭にはすでにアメリカの統一があった。


第二百七十七話   完


                    2022・10・8 
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