夢幻水滸伝
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第二百七十六話 摩天楼掌握その七
「それでや」
「そちらも何とかされますか」
「そや、それでいくで」
「ではですね」
「警察や軍隊だけやなくて」
メルヴィルは市長にエルフ独特の切れ長のその目を光らせて言った、緑のそれが光るとまるでエメラルドの様だ。
「探偵とか情報屋もや」
「用いられますか」
「そのうえでな」
「情報を集めて」
「それを分析してな」
このことも行ってというのだ。
「それからや」
「裏社会を一掃し」
「そして表もな」
こちらもというのだ。
「健全にするで」
「そうしてこの街を掌握されて」
「そこからな」
さらにというのだ。
「州もや」
「統一されますか」
「そやからまずはな」
「情報収集ですね」
「それを行うで」
「わかりました、ところで」
市長はメルヴィルの話をここまで聞いたうえで彼に言葉を返した。
「お聞きしたいことがありますが」
「何や?」
「今メルヴィル様はお家は」
「ないんや、これが」
メルヴィルは即座に答えた。
「仕事もないしな」
「その両方を提供出来ますが」
「仕事は棟梁やな」
「はい、ニューヨークだけでなく他も治める」
そうしたというのだ。
「棟梁に就いて頂くので」
「これからはそれがわしの仕事になるな」
「お家は空き家ですが」
それでもというのだ。
「このマンハッタンにいいお家があるので」
「そこにか」
「入られますか」
「基本住めるんやったら何処でもええで」
メルヴィルは笑って答えた。
「それやったらな」
「では」
「そちらにな」
「入って頂けますか」
「そうさせてもらうわ」
「そして執務室もです」
市長はこちらの話もした。
「実は州全体を治める様な方の建物があって」
「言うなら州知事か」
「そうした方の為の」
「そこに入ってか」
「棟梁としてです」
その立場でというのだ。
「ことにあたられては」
「そこまでしてくれるか」
「この世界を救ってくれる方です」
それならとだ、市長はメルヴィルに話した。
「これ位はです」
「用意してくれるか」
「はい、ではこれよりです」
「この世界を救う為にやな」
「宜しくお願いします」
「わかった、やらせてもらうで」
メルヴィルはきっとした顔で応えた。
「これからな」
「それでは」
市長も笑顔で応えた、こうしてだった。
メルヴィルは棟梁の座に就き官邸に入ってだった。
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