| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

機動6課副部隊長の憂鬱な日々

作者:hyuki
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第59話:教官vs教え子+α


朝起きて,いつものように訓練スペースに向かうと,
フォワードの4人が集まって話をしていた。

近づいて行くと,エリオが俺に気づいて手を振った。
それを見て,他の3人も俺に気づいたようで,エリオと同じように
手を振ってきた。

「「「「おはようございます」」」」

「みんな,おはよう。なのははまだか?」

俺が尋ねると,全員が首を横に振った。

「そうか。なのはから今日の教導について何か聞かされてるか?」

「いえ,何も聞かされてませんよ」

ティアナが答えながら首を横に振った。

「ていうか,そういうのってゲオルグさんこそ
 先に聞かされてるんじゃないですか?」

スバルが俺にそう尋ねてきた。

「いつもはそうなんだけどな。今日はなのはが頑として教えてくれないんだよ。
 ”それはお楽しみだよ”って言ってな」
 
そう答えると,スバルは顔を輝かせた。

「じゃあ,今日は何か変わったことをするんですね。楽しみだ!」

しばらくして,なのはがやって来た。なぜかギンガを伴って。

「ギン姉?」

スバルはなのはがギンガを伴って現れたことに疑問を持ったようで,
首を傾げていた。

「みんな揃ってるね。今日は,新しく機動6課に出向してきたギンガも
 一緒に模擬戦やるよ」
 
なのはがそう言うと,俺とフォワード4人は顔を見合わせた。

「一緒に模擬戦?」

俺がなのはにそう聞くと,なのはは大きく頷いた。

「そうだよ。フォワード4人プラスギンガの5人対私とゲオルグくん」

なのはがそう言ったのを聞いて,スバルは嬉しそうに声を上げる。

「なんか楽しそうだ!ね,ティア」

一方,スバルに話を振られたティアの顔は真剣だ。

「なのはさんとゲオルグさんか・・・厄介ね」

どうやら戦術を考え始めているのか,小声でつぶやいていた。

「じゃあみんなは訓練スペースの南西の角からスタート,私たちは北東の角
 からスタートするからね。模擬戦開始は20分後だよ」

「「「「「はい!」」」」」

なのはの言葉にフォワード4人とギンガは返事を返すと揃って訓練スペースに
入って行った。

「じゃあ私たちも行きますか」

「ん。そうだな」

そう言って俺となのはも訓練スペースの中に入って行った。



「さてと。どうしよっかゲオルグくん」

廃棄都市地区を模擬した訓練スペースの北東の角についた後,
俺が考え込んでいると,なのはが声をかけてきた。

「ん?今考え中。なのはの考えは?」

「私はあんまり込み入った戦術とか考えるの苦手だからね。
 その場に合わせてやれることをやるだけだよ」

「なのはの場合はやれることのレベルが高いからそれでいいんだろうけどね。
 俺はきちんと頭を使わないと」

俺がそう言うと,なのはは嬉しそうに笑った。

「ゲオルグくんが真剣に考えなきゃいけないくらいに,強くなったんだね
 あの子たち」

「まあな。ま,なのはだけじゃなく,俺やヴィータまで付きっきりで
 指導したんだから,いい加減あれくらいやれるようになってくれないと
 困るんだけど」

「そんなこと言いながらも,ゲオルグくんだって嬉しそうだよ」

なのはの言葉に俺は顔を上げた。

「そうか?」

「うん。口周りがニヤついてたよ」

「ま,俺にとっても生徒みたいなもんだから」

俺はそう言って,肩をすくめた。

「それより,あと少しでスタートだけど,どうする?」

「ティアナは,俺のトラップなんかには多分もう引っかからない。
 だから,最初はティアナを潰す。次にキャロだな。
 頭と目を潰せば,手足を切り落とすのは簡単だ」

「ま,常道だね。具体的には?」

「俺がステルスでティアナに接近してみる。それでティアナを潰せれば
 御の字だけど,キャロがいるから魔力反応を探知されて無理だろうな。
 とりあえず,かき回せるだけかき回したら頃合いを見て一旦撤退するから
 俺が合図したら,俺に向かって砲撃してくれ」

「了解。うまくよけてね」

「それはまかせとけ。あとな,俺がかき回してる間にエリアサーチを頼む」

俺がそう言うと,なのはは少し考えこんでから頷いた。

「そっか,私が目になるんだね」

なのはの言葉に俺も頷く。

「向こうにはキャロがいるからな。それくらいしないとこっちが不利すぎる。

「それにギンガがどれだけやれるかも未知数だしね」

「捜査官をやってるくらいだから,それなりに頭も切れるだろうし,
 あいつら4人に比べれば経験も豊富だからな。あいつがうまく
 指揮できるとなるとティアナとキャロを潰しても油断はできない」

「だね。それにしてもさ・・・」

なのははそう言うと俺の顔を見た。

「ん,どうした?」

俺がなのはの方を振り返りながらそう言うと,なのはが笑った。

「私とゲオルグくんが組んで戦うのって久しぶりだね」

「模擬戦で何度もやってるだろ?」

俺がそう言うと,なのはは首を振った。

「本気で,って意味だよ」

「ああ,そういうことか」

「頑張ろうね」

「当然でしょ。まだまだあいつらに負けてられないからな」

「うん。あ,時間だね」

なのはは時計を見てそう言うと,フォワード達に通信で話しかけた。

「みんな,時間になったから始めるよ。準備はいい?」

『はい』

5人が返事をするのが聞こえた。

「うん。じゃあスタート」

なのはの言葉と同時に,俺達の通信からフォワード達5人の声が消えた。

「じゃあ,さっきの通りで。よろしくね,ゲオルグくん」

なのはの言葉に俺は黙って頷くと,ステルスで姿を消しなのはのそばを離れた。

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧