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英雄伝説~西風の絶剣~

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第75話 平原での戦い

side:リィン


 前回ルーアンで幽霊騒ぎの原因を突き止めた俺達は、次の目的地であるツァイスに向かっている所だ。


「ふふ、ティータに会うのは久しぶりだから楽しみ」
「元気にしていると良いんだけどな」


 フィーは友達であるティータに会うのを楽しみにしているようだ。リベールを離れてから一回もあっていないので再会を心待ちにしているのだろう。


「あたしもティータに会うのは久しぶりね。あの子もあたしやヨシュアの事で心配してくれていたみたいだから早く元気な顔を見せて安心させたいわ」
「とても素直でいい娘だからきっと心配しているだろう。エステル、ツァイスに着いて支部に話を通したらすぐに会いに行ってやるといい」
「分かったわ、ラウラ」


 エステルはティータが自分やヨシュアの件で心配していると聞いていたから会って安心させてあげたいみたいだ。あの子は本当に良い子だから間違いなく心配してるだろう、俺としても心配だ。


 妹分が多いラウラも早く会ってあげると良いと話す。しかし随分と仲良くなったな、やはり年頃の女の子だから話が合うのかもしれないな。


「いやー、美少女同士が仲良くしている光景は何とも言えない甘美な味わいだね。リィン君もそう思わないかい?」
「二人のやり取りを変な目で見ないでください」


 相変わらずのオリビエさんにツッコミを入れる、この人はずっと変わらないんだろうな……


 それから暫くして飛行船はツァイスに到着した。俺達はまず報告をする為にツァイス支部に向かった。


「ん?揺れか……!?」


 その道中だった、急に大きな地震が来たため俺達は足を止めてしまった。これはそこそこ大きいな……!?


「わわっ……」
「きゃっ……!」


 姉弟子とクローゼさんがバランスを崩しそうになったので二人を支えた。コケたりして足をくじいたら大変だ。


 それから少しすると地震は収まった。


「驚いた、地震は久しぶりだな。ツァイスはあんな地震が起こるのか?」
「うーん、そんな話は聞いたことがないわね。そもそもリベールって滅多に地震は起きないし」
「わたしもそれなりにリベールに滞在していたけどあんな結構大きめの地震は初めて」


 リベールに慣れていないラウラがこの辺りは地震が起こりやすいのかと言うがエステルはリベールでは地震は滅多に起きないと話す。


 フィーも俺と一緒にそれなりにリベールに滞在していたが地震は一度も起きなかったな。


「あの……弟弟子君」
「あっ、姉弟子とクローゼさん、二人とも大丈夫ですか?」
「はい、私達は大丈夫なのですが……体勢がちょっと……」
「えっ?」


 俺は二人が倒れないように支えただけ……って二人の腰に手を回して引き寄せてる!?これじゃ二人を抱き寄せているみたいじゃないか!?


「わわっ!?ご、ごめん!」


 俺は直ぐに二人から離れた。や、柔らかかったな……はっ!?


「リィン?またなの?」
「そなたは本当に……」
「い、いや待って!今のは仕方なくない!?」
「駄目、あんなにギュッとするのは想定外」
「抱き寄せなくてもよかっただろう」
「そ、そんな……」


 フィーとラウラの怒りを感じ取った俺は言い訳を言う。心なしかまた地震が起きたような気がした。


「どうやらわたし達の気持ちが伝えきれていなかったみたいだね、また夜に分からせるから」
「……はい」


 フィーに強い目でそう言われた俺はただ『はい』としか答えられなかった……





―――――――――

――――――

―――


「久しぶりね、皆……あら?リィン君は何処か落ち込んでいるように見えるけど何かあったのかしら?」
「いえ、何でもないです……お久しぶりです、キリカさん」


 ツァイス支部に入った俺達はキリカさんに挨拶をして情報を貰う。何でもここ最近ツァイスではあのような地震が数回起こっているらしい。


 しかもツァイス地方全体ではなく特定の場所……例えばヴォルフ砦では地震を感じたのに市街地には全く揺れが無いというおかしな現象も起こっているようだ。


「どう考えても自然に起こった地震じゃないね、前のルーアンの事を考えても結社が絡んでいるはず」
「ああ、多少の強弱はあれど地震が起これば揺れを感じるはずだ」


 フィーとラウラはこの地震は自然に起こったモノじゃないと話す。ラウラの言う通りこの町とヴォルフ砦は大きな距離は無い。違いはあれど揺れを感じるはずだ。


「でも揺れがすごく小さくて案外気が付かなかったというのはないかな?」
「こんなにたくさんの人が住んでいるのにですか?」
「まあ全くあり得ないとは言えないけど、僕達は既に結社の技術を目にしている。好きな場所に地震を起こせる装置があっても不思議じゃない」


 姉弟子が地震が小さすぎて気が付かなかったんじゃないかと言うが、クローゼさんの言う通り町の人間全員が感じないと言うのはおかしいだろう。


 とにかくこのままでは怪我人や建物の崩壊など大きな災害が起こるのは目に見えている、原因を調べるためにもこの地震の調査はするべきだと全員が納得した。


「そういえばアガットとグラッツさんがツァイスを調査してるって聞いたけど……」
「二人なら今は地震の被害がないか確認に……どうやら噂をすれば影ね」
「えっ?」


 エステルがアガットさん達の事を聞くと丁度支部に誰かが入ってきた。


「キリカ、被害は……ってお前ら来てたのか」
「おお、来てくれたのか!」


 入ってきたのはアガットさんとグラッツさんだった。良いタイミングだな。


「アガット!それにグラッツさんも!久しぶりね!」
「相変わらず五月蠅い奴だな。まあその方がお前らしいっちゃらしいか」
「何よ、その言い方!あんたも変わらないわね!」
「ははっ、アガットはこう言ってるけど実際は結構心配してたようだぜ」
「おいグラッツ!余計な事を言うんじゃねぇ!」
「あはは、あんたも素直じゃないわねぇ~」
「うっせぇ!」


 エステルにからかわれたアガットさんは照れながらそう叫んだ。根はやさしい人なんだよな。


「丁度いいわ、アガット、グラッツ。貴方達が調査していた地震の件、彼らにも手伝ってもらう事になったの」
「おお、こっちも正直人手が足りていないと思っていたから助かるぜ。なにせ魔獣は増えるし地震の影響で転んで怪我をして動けなくなる人が出るわでてんてこ舞いだったからな」


 キリカさんの言葉にグラッツさんは安堵の表情を見せる。ただでさえ人手不足なのに相当忙しいんだな……遊撃士ってかなりブラックかもしれないな。


 その後俺達は普通の依頼をグラッツさんに任せて地震についてツァイス市とヴォルフ砦の聞き込みに向かう事になった。人数もいるので今回も別れて行動する事になった。


「それじゃ今回はあたしとリィン君、アガット、オリビエでツァイス市で聞き込みね。新型のゴスペルの事もラッセル博士に報告しないといけないわね」
「そうだな、まずは博士の元に向かおうか」


 俺はエステル達と行動を共にすることになった。フィーにティータと会わないのかと言ったが「会いたいけど私情は持ち込めない、前はわたしがクローゼに先に会わせてもらったしね」と言ったので俺がこっちになったんだ。


 ただ「これ以上アネラスやクローゼにエッチな事をされるのは嫌」と言ったのでそっちが本音かもしれない……


「じゃあ行きましょうか」
「ちょっと待て。一言お前に言っておきたいことがある」
「俺ですか?」


 エステルの言葉をさえぎってアガットさんが俺に何か言いたいと言ってきた。


「いいか、俺はお前を信用してねぇ」
「っ……」
「猟兵なんざ信用ならねえからな。上の命令だから同行させるがおかしな真似をしたらたたっ切ってやる。それを忘れんなよ」
「肝に銘じておきます」


 アガットさんにそう言われた俺はそう答えた。疑われるのは仕方ない、本来は敵対してるんだからな。


「ちょっとアガット!そんな言い方は……!」
「お前も少しは警戒しろ。本来なら俺達は相いれない敵同士だ」
「それはそうだけど……」


 エステルが抗議しようとしたが正論を言われて黙ってしまった。


「まあまあエステル君、アガット君は君が心配だからああいう言い方をしたんだよ。アガット君は後輩に優しいね」
「はぁ?そんな訳ねぇだろう?そもそも俺はてめぇの事も怪しんでいるって事を忘れんなよ」
「そんな硬い事言わないで仲良くしようよ。僕が想いを込めて歌うから聞いてほしい……とっておきの歌をね!」
「止めろ!こんな道端で歌おうとすんな!」


 そこにオリビエさんがフォローを入れた。それを見ていた俺とエステルはつられて笑ってしまった。


「あはは、まあアガットさんの言う事は正論だよ。彼の信頼を得るためにもしっかりと仕事をしないとな」
「そうね、リィン君に負けないようにあたしも頑張らないとね!」


 俺達は新たに気合を入れて調査に乗り込むのだった。




―――――――――

――――――

―――


 ラッセル博士とティータが住んでいる工房に来た俺達はドアをノックする。


「こんにちはー!ティータ、ラッセル博士ー!エステルよー!」


 エステルは大きな声でそう言うが返事は帰ってこなかった。


「あら、留守かしら?」
「扉の鍵は?」
「開いてるわね……」


 最初は留守かと思ったがどうやら鍵はかけていないようだ、となると聞こえていないのかもしれないな。


「何か作業中なんじゃないかな?ここはお邪魔させてもらったらどうだい?」
「えっ、勝手に入ってもいいのかしら?」
「急ぎの用だからな。出てこない方が悪い」
「うーん、まああたし達は知った仲だしいっか。お邪魔しまーす」


 そう言って俺達は工房内に入らせてもらった。中から人の声が聞こえたからどうやら何かをしていて声に気が付かなかったパターンみたいだな。


「こんにちはー!」
「えっ……?」
「お前さん達は……」


 俺達に気が付いた二人は……あれ?ティータは固まっちゃったぞ?ラッセル博士は嬉しそうなのに何でだ?


「えへへ、ご無沙汰してごめんなさい。久しぶりね、ティータ、ラッセル博士」
「エステル!元気そうで何よりじゃわい」
「エステルお姉ちゃん……お姉ちゃん!!」


 ティータはエステルの胸に勢いよく飛び込んだ。


「わわっ、ティータ?」
「エステルお姉ちゃん……会いたかったよぉ。私、心配で心配で……」
「ティータ……」


 どうやら久しぶりにエステルに会えたから嬉しくて抱き着いてしまったみたいだな。エステルはティータの頭を優しく撫でながらギュッと抱きしめた。


 それから居間に移動した俺達は挨拶をして今まで起きていたことを二人に話した。


「クーデターの黒幕どもが既に活動を始めていたか……しかも再びゴスペルを持ち出してきたとはのう」
「空間投影装置が生み出した映像を遠く離れた座標に転送する……そんな事どうやったら可能なんだろう?」
「空間投影装置そのものは決して不可能ではないはずじゃ。ワシもいずれは作ってみようと思っておったからな」


 二人は前にゴスペルが見せた力の解析を始めた。というか博士は兎も角ティータも難しい言葉ばかりで理解が追い付かないな……


「そういえば前にクーデターで使われていたゴスペルの事についてはちったぁ分かったのか?」
「むう、それがな……」


 アガットさんは前にクーデターで使われていたゴスペルの事を博士に聞くが彼は渋い表情を浮かべた。


「解析を進めれば進めるほど奇妙な事が分かってきてな……」
「奇妙な事?」
「うむ、結論から言うとなあのゴスペル自体に導力停止現象を起こすような力があるとは思えなくなってきたんじゃ」


 博士が言うにはゴスペル自体には導力停止現象を引き起こす力があるとは思えないらしい。


「でも実際ゴスペルが起動したら導力は使えなくなりましたよ?」
「うむ、表面的にはそう見えるな。じゃが先ほど言ったように内部の結晶回路を解析してもそんな現象を起こすとは思えんのじゃ。導力場の歪みのような物を発生させるのは確かなんじゃが……」


 導力場の歪み……?また分からない単語が出てきたな。


「導力場の歪みというのは導力エネルギーの周囲に形成される干渉フィールドのことを言います。大抵は一定の法則で力線が描かれるんですけど……どうもゴスペルが生み出す導力場はこの法則から外れているらしくて……」


 ティータが説明してくれるが話が専門的過ぎてついていけなくなってきたな……頭のよさそうなクローゼさんやオリビエさんも顔をしかめている。


「ありていに言うと既存の法則にあてはまらない歪んだ導力場を発生させるんじゃ。じゃが導力場というのはあくまでも一定の時空間における導力エネルギーに在り方にすぎん、方向性が与えられない限り導力停止現象のような具体的な作用が起こるはずがない」


 つまりゴスペルの結晶回路では導力停止現象のような作用は起きないって事か……自分で言っていて訳が分からなくなってきた。フィーがいたらもう寝てしまっていそうだ。


「じゃがお前さん達が話してくれた新型のゴスペルの話を聞いて新たな可能性が開けたかもしれん。知らせてくれて礼を言うぞ」
「あはは、どこがどう役に立ったのかいまいちピンとこないけど……」


 ラッセル博士はあれだけの情報で新たな考えに至ったらしい。それについてお礼を言われたがエステルの言う通り何が役立ったのか分からないな。


 俺達は例の新型が王国軍が確保していると話したので後日博士が見に行く事になった。


「そういえばお前さん達はこれからどうするんじゃ?」
「俺達は今ツァイスの各地で起こっている地震について調べています」
「地震か、ならアレが仕えるかもしれんな」
「アレ?」
「うむ、お前さん達の助けになる装置がある。調整するので先に街の方の聞き込みをしてくるといい」
「分かったわ」


 どうやらラッセル博士が何か役に立つ装置を用意してくれるみたいだな。その間に俺達は町で聞き込みをしておこう。


「あっ、そうだ。リィンさん、フィーちゃんはいないんですか?」
「フィーはヴォルフ砦の方に向かったんだ」
「そっか、久しぶりに会いたかったんだけどなぁ……」
「フィーも会いたがっていたし直ぐに会えるよ」
「えへへ、それなら私も頑張っておじいちゃんのお手伝いをしないとですね!」


 ティータはそう言って笑みを浮かべた。可愛いなぁ。


 そして二人と別れた後俺達は町で聞き込みをしていたんだが……


「皆、大変よ。グラッツがトラット平原道で見た事もない魔獣に襲われているらしいの」
「ええっ!?あんですって!」


 そこに慌てた様子のキリカさんが駆けつけてきて俺達にそう話した。


「逃げてきた町の住民からの情報よ。今はグラッツが抑えているらしいけどいつまで持つか……」
「なら直ぐに向かうぞ!」


 アガットさんの言葉に全員が頷いて急いでトラット平原道に向かった。グラッツさん、無事でいてください……!




―――――――――

――――――

―――


 トラッド平原道に着いた俺達は魔獣に襲われていたグラッツさんを見つけた。



「なにあの魔獣!?見た事がないわ!」


 エステルの言う通りグラッツさんを襲っていた魔獣は見た事もない見た目だった。


 一見クモみたいな形をしているが、両腕はチェーンソーと生物のような見た目をしていない。その姿はグランセル城の地下にあった遺跡にいた魔獣たちのような感じだった。


「緋空斬!」
「捻糸棍!」


 俺とエステルは飛ぶ斬撃と衝撃波で魔獣を攻撃した。魔獣の体がぐらつき赤い三つの目がこちらを捕える。いや目と言うよりはカメラみたいだな。ますます生物っぽくないぞ。


「オリビエさん、グラッツさんを!」
「それは私がやるわ」
「キリカさん!?」


 俺はオリビエさんにグラッツさんを救助してもらおうとした。だがいつの間にかいたキリカさんが見事な身のこなしで魔獣の側にいたグラッツさんを回収する。


「彼の事は任せて、貴方達は魔獣をお願い」
「分かったわ!」


 魔獣は俺達に標的を変えたようだ。去っていくキリカさんとグラッツさんには見向きもしない。


「来るぞ、お前ら!」


 魔獣がチェーンソーを振り回しながら襲い掛かってきた。俺はその一撃を避けて懐に潜り込んだ。


「チェーンソーの扱いはシャーリィの方が遥かに上だな!」


 俺はいつも戦場で出会うと殺しあいを求めて来る腐れ縁の紅い髪の少女を思い出しつつお粗末なチェーンソー裁きの相手を挑発した。


「紅葉切り!」


 胴体を斬りながらバトルスコープを構える。魔獣は俺に攻撃をしようとしたが横からエステルの金剛撃を当てられて大きく怯んだ。


「名前は『スパイダー』……見たまんまだな。アーツは耐性があるのか。皆、コイツにアーツは効きにくいぞ!」
「なら直接斬ればいいだけだ!」


 アガットさんはそういって大剣を魔獣の頭に叩きつけた。その衝撃で三つの目のうち一つが破損したようだ。


「ラ・フォルテ!」


 オリビエさんが支援系のアーツで補助してくれた。これは攻撃力を上げるヤツか。


「ナイスよ、オリビエ!とりゃあ!!」
「喰らえ!」


 エステルとアガットさんの一撃が4本あった足の二つを破壊した。バランスを崩した魔獣は倒れそうになった。


 だがその時だった、魔獣の背中が開いてミサイルが飛んできた。


「クイックドロウ!」


 だが放たれたミサイルはオリビエさんが全て撃ち落とした。


「終ノ太刀『暁』!!」
「ファイナルブレイク!!」


 怒涛の連続斬りを浴びせた後アガットさんの放った大きな衝撃波が魔獣を吹き飛ばした。チェーンソーも折れて体もボロボロだ、やったか?


「ピピ……ピピピ……」
「なんだ?」
「変な音がするわ?」


 魔獣から変な音がしたことに俺達は首を傾げる。もう動く気配はなさそうだが……


「嫌な予感がする、皆離れるんだ!」


 俺は嫌な予感がしたのでその場を離れるように全員に行った。アガットさんも何かを感じたらしくすぐに魔獣から離れた。


 そして……


 ドガァァァァァァァン!!


 凄まじい衝撃と共に魔獣が爆発した。


「ば、爆発した!?プチデッガーみたい!」
「威力はそんな優しいもんじゃねえけどな」


 エステルは自爆する魔獣のようだと言うがアガットさんはあんなもんじゃないと言う。


「でもなんだったんだろうか?あれも結社が関係しているのか?」
「うーん、調べようにも木っ端微塵だからね……今は報告をしに戻った方が良いと僕は思うよ」
「そうですね、グラッツさんの容体も気になりますし早く戻りましょう」


 オリビエさんの言葉に俺も頷いて急いでツァイスに戻った。


 でもなんだろうか、何か視線を感じたような……



―――――――――

――――――

―――


side:??


 リィン達が去っていくのを高台から見ている人物がいた。


「あれが例のガキか……正直期待してたほどじゃねえな」


 サングラスに黒いスーツ、一見裏の世界で生きる生業の人間にも見えるが纏っている血の匂いは猟兵にも引けを取らないほど濃厚だった。


「それに異能の力を使っていなかったな。ガラクタじゃ試しにもならなかったか」


 男はどう猛な笑みを浮かべると拳を握りしめる。


「やはり自分で試した方が良いな……がっかりさせないでくれよ、猟兵王の息子」


 男はそう言うとその場から去っていった。


  
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