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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜

作者:カエサル
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ALO編ーフェアリィ・ダンス編ー
  14.許された過去

 
前書き
第14話投稿!!!

日常を取り戻したシュウ。
SAOの約束を守るため、シュウはあの場所へ足を運ぶ。

フェアリィ・ダンス突入!!!
 

 


寒いある冬の日。朝日が光線のようにカーテンの間から顔に差し込む。寝起きの重い体をベットから起こす。カーテンを開け、大きめのあくびをし、眠い瞼をこする。

寝間着のスウェットから黒いジャージへ着替え、その上にダウンジャケットを着込み、暖房の効いた部屋効いていてまだほのかに暖かさが残っている自室から出て行く。廊下でさえも外のように感じる。階段を下りて玄関をから外へと出る。雪こそは降ってないが、外には霜が降りており、アスファルトも少し凍っている。

そんな寒い中、元気のいい女の子の、テエィ!、という声が聞こえる。俺が向かうのは、その女の子の声が聞こえる真向かいの歴史を感じる日本家屋だ。

「........あいつに会うのも久しぶりだな.......」

真向かいの家に入る前に少し立ち止まり表札を見る。

【桐ヶ谷】

そして俺はその家に足を踏み入れた。




「よっ!久しぶりだな、和人、直葉!」

「久しぶりだな、集也」

「久しぶりです、集也さん」

桐ヶ谷家には、黒色のスウェット姿の縁側に座る少年、桐ヶ谷和人......いや、俺とともにあの二年を戦い抜き、俺が最後に守れなかった《黒の剣士》キリトとその妹で剣道着に袴を着た少女、桐ヶ谷直葉。

俺も最初は驚いた。俺たちの目の前で光となり皆を守って消えたはずの少年が俺と同じ病院で生きていたことに。

「集也も持ってみろよ」

キリトから投げられる竹刀を掴み取り、片手剣を持つように持ち、振るう。

「軽いな.......」

「集也さんも!?それ真竹だから結構重いよ」

直葉が少し驚いた表情をする。

「まぁ、イメージというか.......比較の問題というか.......」

二年間、あんな武器を持ってたら軽く感じるのも無理はないな。竹刀を縁側に立てかけ、俺も縁側に座る。

「直葉、その水ちょっとくれない」

「いいですよ、はい」

直葉の持ってる水を口をつけて飲む。水を飲み干すと直葉の方を向き言う。

「直葉、ちょっと俺と試合やらない?」

「別にいいですけど.......防具もちゃんとつけてですか?」

「その方が試合っぽいしな。あと、敬語話しにくいならタメでもいいよ。俺もその方が楽だし」

「集也、大丈夫なのか?スグは強いぞ」

「知ってるよ。でも、俺だって伊達に約二年剣道やってたわけじゃねぇし........それに二年間の剣技があるからな」

まぁ、俺と直葉の関係を説明すると、中学の時代、先輩と後輩という関係だ。だから、直葉が俺に対して敬語を使うのだ。




キリトの家には、道場までもある。どこまですごいんだよこの家は.......

キリトの爺さんの剣道着と袴、防具を借りる。互いに準備の出来た俺と直葉は、向き合い正座で礼をし、立ち上がる。

直葉が竹刀を構える。
俺も竹刀を構える。

「それなに........集也さん」

「いいんだ。俺流の剣術だから」

俺の構えは左手を前に出し何かを握るように手を握り、右手で竹刀を握りその竹刀を少し後ろに引く。

「それじゃあ、始めるよ」

「おう」

少しの沈黙の響く。すると少年の声が沈黙を切り裂く。

「初め!!」

直葉がすり足でこちらに寄ってくる。だが、その動きを俺の前で少し止める。

その瞬間、俺が動く!!
後ろに引いていた竹刀を瞬間に前に突き出し直葉の竹刀に激突させる。

片手剣突進技《ソニックリープ》
肩に担ぐことはしなかったが、それは紛れもないソードスキルを模倣だ。激突し後方に少し下がると続けて刀身を落とし、一気に上へと振り上げ、竹刀を弾いたのちのもう一度振り上げる。

片手剣縦二連撃技《バーチカル・アーク》
さすがの全中ベスト8の実力者、俺のソードスキルを全て受け切った。

(それなら.........)

俺の竹刀と直葉の竹刀がぶつかり合い鍔迫り合いとなる。
さすがに重い!!

(でも、これで!!)

鍔迫り合いをする中、一瞬自分の力を抜き、直葉の竹刀の重みで後ろに仰け反った。その瞬間に後ろに乗る体重を前方へと移行させ相手の懐へと侵入。左手の手刀で一気に胴を撃ち抜く。

手刀上位剣技《太刀か.........その瞬間、左手に激痛が......!!

「痛ぁぁぁぁ!!!」

「大丈夫!?集也さん!?」

忘れてた........今の俺は《手刀術》も使えなければ.......ましてや、今の直葉は防具をつけてるから痛みがやばい。

「やっぱり、やらかしたか。集也ならやると思ってたよ」

「.....ちゅ、注意ぐらいしてくれよ......和人」




外の蛇口で俺は真っ赤に染まる左手を水で冷やす。

「痛かった.........」

「ほんとに大丈夫、集也さん?」

「問題ない.......と思う。折れてるかヒビじゃない限り大丈夫だ」

「それは、大丈夫とは言わないと思うよ」

ある程度水で腕を冷やす。

「俺はこれで帰らせてもらうよ」

「またな、集也」

「それじゃあ、集也さん」

俺は一旦、家に帰り、試合の汗を洗い流した後、中にカーディガンを着込み、ダウンジャケットを羽織り、ロードバイクを走らせる。




ロードで俺が向かった場所は、墓地。ロードを止め、墓地の中へと足を運ぶ。そして奥地にある墓石の前で足を止める。そこには、【北野】の文字が彫られている。

「来たよ.........ミサキ」




俺があのデスゲームを抜け出して、まず行ったの行動は、SAO内の情報を提供するかわりにミサキの居場所を教えてもらうため、SAO対策本部へと乗り込んだ。だが、俺と同じ行動をとった人物がもう一人いた.........それがキリトだ。キリトは、アスナの居場所を教えてもらうため、俺と同じようにSAO対策本部へと乗り込んだのだ。

そして、そこで衝撃の事実を聞かされることとなった。

『結城明日奈を含む、約三百人のプレーヤーがまだ目を覚ましていない』と.........




「ミサキ.........また来るよ」

ミサキの墓石の前から立ち去ろうとした時、両手で花を持ち、花を持つ右手にバケツを下げている三十代くらいの女性がこちらを見て頭を軽く下げ、こちらに近づいてくる。その女性がどこかで見覚えがあるような気がした。いや、気がしたんじゃない。その女性には会ったことはない。

「最近、よく花が変わっていると思ったら、あなただったんですね」

「......は、はい」

そして恐る恐る俺は、彼女に聞く。

「.......あのミサキ......北野美咲さんのお母さんですか?」

「はい。私は美咲の母親です。あなたは?」

俺があの世界でともに過ごし、楽しさを教えてくれ、恋をした少女の母親。

「僕は.........ミサキさんとあの世界で知り合った如月集也です」

(......包み隠さず話すって俺は決めたんだ。それでどんなことになっても真実を伝えなきゃいけないんだ)

「すみませんでした!!」

謝ると同時に墓地に敷かれているアスファルトに頭をつける。

「急にどうしたんですか!?顔をあげてください!!」

突如、謝った俺に驚く彼女。

「いえ、僕がやったことは、許されないことなんです」

どんなけ謝っても謝りきれない俺の罪。あの世界が終わろうとも消えることのない俺が一生背負って生きていかなければいけない罪。

「.........許されないこと?」

「.......は、はい」

アスファルトに頭をつけたまま俺はあのことを......。俺が一生背負わなければいけない罪のことを口にした。

「僕が.......ミサキさんを..........殺しました........」

その発言に彼女が言葉を失う。朝の沈黙の墓地にアスファルトと金属が触れ合う音と花が落下したような音が響き、近くの森から烏が羽ばたくような音が響く。

「あなたが..........美咲を........殺した......?」

衝撃のせいかその言葉は途切れ途切れとなっている。

「どんな罰でも受けます!!俺を殺しても構いません!!!」

俺のやったことは許されないことだ。絶対にな.......。

「頭をあげてください........集也さん、でしたよね」

俺は恐る恐る頭を冷たいアスファルトからあげる。

......彼女は泣いていた。さっきまで持っていた花とバケツは地面に落下している。そしてその手は強く握られている。

「話してくださいますか.......美咲の、最後を.......」

俺はミサキに起きたことを全て母親に話した。何も包み隠さずに話した。俺の話を何も言わずただただ頷いて聞いている。

俺が話し終わると彼女は、そうですか、と一言だけ言って下を向き黙り込む。

「集也さん」

「は、はい」

不意に彼女の声に驚く。

「あなたのキャラネームっていうんですか?.......それを教えてくれませんか?」

彼女の言葉に俺は少し驚いた。

「........シュウです」

「そうですか」

彼女は涙を右手で拭い、その表情を安心したような表情に変える

「それなら、私はあなたを許します」

「えっ!」

またも驚いた。

「私はあなたを許します。それが娘の言葉ですから」

「ミサキの........言葉?」

意味がわからなかった。

「美咲が死んだ日は今でも覚えています。あの時は、言ってる意味がわかりませんでしたけど........今ならわかります。美咲の最後の言葉が」

彼女は少し間を開けたあと、その言葉を口にする。

「........シュウ、ありがとう.......それが美咲の最後の言葉でした」

頬を温かいものが伝っていく。止めることもできない。

「どうでしたか。美咲は、向こうでも笑ってましたか?」

止めどなくこぼれる涙を無理やりに止めて俺は作り笑いをして言った。

「はい........笑顔でした........」

「そうですか.......それでは」

彼女は、俺の言葉を聞くとその場に落ちているバケツと花を拾い上げてこちらに一礼して去って行った。

アスファルトから立ち上がり、ミサキの墓石の天辺を二、三度撫でる。

「また来るよ。......ミサキ」




次の日の朝、俺のスマホに一件のメールが届く。

そのメールはエギルからのもので【件名:Look at this!!差出人:エギル】。あとは、写真が貼られてるだけで他に文字はない。

その写真ファイルを開くとそこには..........鳥籠の中にいる人......だが、その姿には見覚えがあり.........というかその姿は.........

「........アスナ?」
 
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