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星河の覇皇

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第八十二部第五章 撤退する者達の焦りその三十九

「ですがそれでもです」
「シャイターン主席とはですか」
「違う」
「閣下はそう感じられましたか」
「その様に」
「若しもです」 
 こうもだ、八条は言った。
「シャイターン主席に何かあったのでは」
「そのシャイターン主席にですか」
「何かがあり」
「それで、ですか」
「指揮に影響が出て」
「動きが悪かったのですか」
「そうも思いました、そういえば」
 八条はこうも言った。
「サマルカンド星系で地震がありましたね」
「その様ですね」
「結構規模の大きいものだったとか」
「あと隕石も落ちたとか」
「戦争中に災害とは運がないですね」
 ティムールもと言うのだった、災害の厄介なところは時も場所も人の都合になぞ全く合わさないところだ。
「迅速な対応だったとか」
「ティムール首都政府のそれは」
「それで損害も最低限に抑えたとか」
「それは不幸中の幸いでしたね」
「はい、ですが」
 それでもとだ、また言った八条だった。
「どうもそちらは」
「災害ですか」
「そちらの対策ですか」
「そのことですか」
「それがです」
 こう言うのだった。
「どうもです」
「どうも?」
「どうもといいますと」
「それは」
「ティムールは独裁国家です」 
 このことはオムダーマン以上だ、確かに議会や政党そして選挙も存在しているが国家元首であるシャイターンの権限が極めて強い国家なのだ。
「独裁国家は中央集権国家ですね」
「それ即ちですね」
「まさにですね」
「サハラにはよくある国ですが」
「あの国も独裁国家です」
「まさに」
「そうですね、あの国は」
 周りもその通りだと答えた。
「そして中央政府の権限は強く」
「地方政府の権限は弱いですね」
「それは首都も同じで」
「中央政府よりは遥かに」
「そうした政府である筈ですが」
 サマルカンド星系のそれもというのだ。
「ですが」
「それでもというのですか」
「対応がよかった」
「そうだったというのですか」
「中央政府がある様に」
 その様にというのだ。
「動きがよかったです」
「といいますと」
「まさかと思いますが」
「シャイターン主席がことにあたっておられた」
「そうだというのですか」
「まさか」
「普通は有り得ないですが」
 それでもと言うのだった。 
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