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機動6課副部隊長の憂鬱な日々

作者:hyuki
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第39話:TVを見ながらご飯を食べるのは行儀悪いですよ


俺となのはが2人で昼食を食べながら雑談していると,
ヴィータが食堂に入ってくるのが見えた。
ヴィータは俺となのはを見つけると,昼食を乗せたトレーを持って
早足で近づいてきた。

「ゲオルグじゃねーか。1週間もどこに行ってたんだ?」

「はやてに出張を頼まれてね。本当は2日の予定だったんだけど,
 片づけるのに手間取って遅くなった」
 
「ふーん。どんな仕事だったんだ」

ヴィータは俺となのはがいるテーブルの空いた席に座りながら聞いてきた。
ちらっとなのはの方を見ると,なのはも興味があるらしい顔をしていた。

「本局で調べ物とか事務関係の打ち合わせとか。まあ色々だな」

まさか本当のことを言うわけにもいかず,俺は適当なことを言って誤魔化した。

「その程度のことで1週間もかかったのか?ゲオルグにしては
 時間がかかりすぎじゃねーか?」

「量が半端じゃなかったんだよ」

「ふーん」

俺の返答に納得したのか,そもそもそんなに興味がなかったのか,
ヴィータは微妙な返事をすると,自分の昼食に手をつけ始めた。

「あー!ゲオルグさんがいる!」

俺が昼食に手をつけるのを再開すると,俺の名前を大声で呼ぶ声が聞こえた。
声のする方を見ると,スバルを先頭に向かってくるフォワード4人の姿が見えた。

4人は空いていた隣のテーブルを寄せてくっつけると,それぞれのトレーを
テーブルに置いて席に着いた。
中央には相変わらず大量のパスタを乗せた大皿がドンと鎮座している。

(何度見ても圧巻だねこれは・・・)

俺がパスタの山に圧倒されていると,スバルが話しかけてきた。

「1週間もどこ行ってたんですか?みんな心配してましたよ」

「本局に出張だよ」

「へー。副部隊長って忙しいんですね」

スバルが感心したように言うと,ティアナが横から口をはさむ。

「当たり前でしょ。ゲオルグさんは6課の運営関係を仕切ってるんだから。
 あんたと一緒にしない」

「はいはい。ティアはゲオルグさんのこと大好きだもんねー」

「あんたねえ。そんなんじゃないって言ってるでしょ!
 局員として尊敬してるってだけよ・・・」

スバルがティアナを茶化すとティアナは少しムキになったように反論する。

(尊敬ねぇ・・・。俺はそんなに大した奴じゃないんだけどね)

そんなことを考えながら,目の前の昼食をつついていると
シンクレアが食堂に入ってくるのが見えた。
シンクレアは俺を見つけると,トレーを持って空いていた俺の隣に座った。

「ゲオルグさん,昼飯に行くなら誘ってくださいよ」

「ん?悪い悪い。はやてに出張の報告をしてそのまま来ちゃったから。
 シンクレアのことはすっかり忘れてた」
 
「ひどいなあ。俺拗ねちゃいますよ」

「勝手に拗ねてろ」

俺が突き放すように言うと,シンクレアははいはいと言って自分の昼食に
手をつけ始めた。

「あの,ゲオルグさん。こちらの方は?」

声のした方を見るとティアナが俺とシンクレアを交互に見ながら尋ねてきた。

「なのは。こいつらにシンクレアのことは紹介してないの?」

俺がなのはに聞くと,はっとした顔で首を振った。
ちなみに,隊長・副隊長陣には着任後すぐに紹介してある。
もちろん,偽装身分であるシンクレア・ツァイス三尉としてではあるが。
俺は,隣に座るシンクレアに自己紹介するように言った。

「じゃあ自己紹介ね。俺はシンクレア・ツァイス3等陸尉。
 6課での役割は部隊付の参謀ってことになってるけど,実際には
 ゲオルグさんの小間使いだね。よろしく」

「「「「よろしくお願いします」」」」

シンクレアがフォワード4人の方を向いて自己紹介すると、
フォワード4人はそろった返事を返していた。

そのまま,シンクレアへの質問タイムが開始されていたが,
俺は適当に聞き流しながら,モニターに流れているニュースを見ていた。
クラナガン市内での連続強盗事件のニュースが終わり,
次のニュースに移ったところで,俺の意識はそちらに集中した。

「・・・さん。ゲオルグさん!聞いてます!?」

隣のシンクレアが俺を呼ぶ声で俺は意識をニュースから会話に移した。

「ん?何?」

「どうしたんです。何かぼーっとされてましたけど」

シンクレアがそう聞くので俺は無言でモニターを指さした。
モニターの中ではアナウンサーが地上本部の防衛戦略に関する記者会見の
様子を伝えていた。

「そういえば,もう少しすると公開意見陳述会ですね」

シンクレアが思い出したかのように言う。
その間にゲイズ中将の会見の様子に映像は切り替わっていた。

「あのおっさんはまだあんなこといってんのか?」

ヴィータがあきれたような口調で言う。

「ん?ヴィータはゲイズ中将が嫌いなのか?」

俺が聞くとヴィータは黙って頷いた。

「ふーん。確かにあの人の言ってることは俺もどうかと思うけどね。
 犯罪発生率20%減に検挙率35%向上ってのはどう考えても無理とも思うし。
 でもね・・・」

俺がそこで言葉を切って,食後のコーヒーに口をつけた。

「でも,何なの?」

なのはが俺に先を促す。

「あの人が言ってることもわかるんだよね」

「なんで?管理局の基本方針には反してるよね」

「確かにね。でも,最近の地上の治安状況の悪化はひどいと思うんだよ。
 テロに限らず,窃盗とかの一般犯罪も俺がガキの時に比べると
 ずいぶん増えたような気がするんだ」

俺がそう言うとミッド出身のティアナが頷いた。

「地上の治安維持が地上本部の責任下にある以上,何らかの方法で
 テコ入れをしないといけないだろ。理想を言えば,強力な魔導師を
 地上に配備するのがベストだよ。でも,優秀な魔導師は限られるだろ。
 その上,優秀な魔導師は本局がほとんどもってっちゃうから,
 地上の戦力増強は遅々として進まない。
 結果として,武装強化に走ろうってのも無理ない話だよ」

俺が話しを終えると,全員が考え込んでいた。
少しして,スバルが手を挙げた。

「じゃあ,ゲオルグさんはゲイズ中将の案に賛成なんですか?」

「うーん,難しいところだね。少なくとも全部に賛成ではないよ。
 大規模な防衛力の強化が必要なのは確かだろうけど,それを
 すべて武装の強化で実現しようっていうのはちょっとね。
 質量兵器の大量導入による悪魔の誘惑に勝てると断言できるほど,
 今の管理局上層部が自制心豊かとはいえないし・・・」

俺がそこまで言うと,シンクレアが俺の脇腹をつついてきた。

[ゲオルグさん,言いすぎですよ]

[そうだね。ちょっと言いすぎた]

俺とシンクレアが念話を交わしていると,なのはが俺を見た。

「ゲオルグくんが言うことはわかるんだけど・・・ね」

「だろうね。俺もあの人の強引なやり口はどうかと思うし,
 過去の文明社会の反省をもとに作られた今の管理局の方針も
 それはそれで尊重すべきものだと思うからさ」

「政治に100点満点はあり得ないってことですよね」

なのはに返答を返すと,ティアナが反応してきた。

「おっ,ティアナはよくわかってるねえ。感心感心」

「いえ・・・」

俺がティアナを褒めるとティアナは少し顔を赤くしていた。

「あーっ!ティアが照れてる!」

スバルがその様子を目ざとく見ていて,大声で指摘すると,
ティアナは顔を真っ赤にして,スバルに拳骨を落としていた。

「いったいなぁ。図星だからって殴ることないじゃん」

「うっさい!」

俺はそんな光景を見ながら,少し考え込んでいた。

(あんたは何をそんなに焦ってるんだ・・・レジアス・ゲイズ)

 
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