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八条学園騒動記

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第六百八十話 食べてみてその三

「お一人ね」
「それ位でなんだ」
「それでお食事も」
「スパゲティとかでね」
「質素だったんだね」
「建築は好きだったけれど」
 終生巨大で壮麗なものを好んだ。
「これはドイツの為で」
「自分の為じゃなかったんだ」
「自分は質素でいいってね」
「そうした人だったんだ」
「どうもね」
「何かイメージ違うね」
「極悪人だけれど」
 連合でのヒトラーのこの評価は普遍のものである。
「けれどね」
「質素なのは事実だね」
「そうよ、ただスパゲティが好きでも」
 このことは事実でもとだ、メアリーは話した。
「カルボナーラはね」
「食べてなかったんだね」
「そのヒトラーの頃に出たものでしょ」
「あっ、大戦中だからね」
 シッドはその話にすぐに反応した。
「それでアメリカ軍に」
「時代も合わないしカルボナーラはベーコンが入るから」
「だからだね」
「目の前に出されてもね」
「食べなかったんだ」
「そうみたいよ」
 尚多少だがヒトラーも肉を食べたという話がある。
「これがね」
「そうなんだね」
「生クリームや卵位は食べたと思うけれど」 
 それでもというのだ。
「流石にね」
「べーコンはないね」
「その筈よ」
「やっぱりそうだよね」
 シッドもそれはと頷いた。
「菜食主義者なら」
「ベーコンは完全にお肉だからね」
「食べないよ」
「そうよ、しかしカルボナーラっていいわね」
 メアリーはワインを飲んでまた食べて言った。
「濃厚な味でね」
「いいよね」
「これはこれで」
「そうよね、ワインにも合うし」 
 またしても飲んで言った。
「丁度いいわ、ただね」
「ただ?」
「ただっていうと」
「いや、カナダのスパゲティってどうしてアルデンテないのかしら」
「僕達今アルデンテだけれど」
「物凄く美味しいね」
「茹で過ぎた麺なんて」
 パスタもそこに含めて話した。 
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