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星河の覇皇

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第八十二部第五章 撤退する者達の焦りその三十六

「今もある顔は多くがラテン系です」
「中世以降のものですね」
「ミケランジェロも描いた」
「ダ=ヴィンチもでしたね」
「ルネサンス以降に確固たるものになり」
「受け継がれていきましたね」
「ですが当初は違いました」 
 大体五世紀まではそうだったという。
「髭のない美男子に描かれていました」
「そして実際のところは」
「ラテン系の血は入っていません」
「言うまでもなく当時の中近東の民族ですし」
「大工でしたし肉体労働でした」
「身体つきもしっかりしていたでしょうし」
「当時のローマ人は髭を剃ってはいましたが」
 この辺りはギリシア人と同じだ、この頃のローマはギリシアの影響も強かったが元々髭を生やす風習は然程なかった。
「当時のあの地域は違うそうでしたし」
「ローマの勢力圏でも」
 実際はローマはその中に多くの文化や宗教を内包していたので髭を生やす文化も存在していたのだ。
「それではですね」
「髭も生やしていました」
「しかしその髭は長いものではなかったでしょう」
「あの肖像画の様に」
「当時のあの辺りの民族はそこまで髭は濃くなかったといいますし」
「アジア系の血が濃く」
「そう考えますと」
「あの肖像画の顔は」
「やはり違います」
 八条はこう話した。
「ですから言われていますね、あの聖骸衣は」
「実は偽物である」
「キリストを包んだものではない」
「そう言われていますね」
「私もそう思いますし」
 偽物であるとだ。
「違うでしょう、ただそれでもです」
「聖遺物であることは事実ですね」
「その聖骸衣も」
「そしてロンギヌスの槍も」
「そして聖遺物があれば」
「そこからです」
 それを持っていることを根拠にしてというのだ。
「正統性も主張出来ます」
「ではですね」
「エウロパはバチカンを置いてですか」
「彼等のカトリックを持ちますか」
「そうしますか」
「そうでしょう、ですがそれでも」
 例えエウロパがそうしてもとだ、八条はいいとした。
「連合としてはです」
「これといって、ですね」
「困ることではないですね」
「連合にバチカンがある」
「その正統性を言えますので」
「正統性は言えば勝ちというところもありますので」
 つまり主観によるものだというのだ。 
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