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機動6課副部隊長の憂鬱な日々

作者:hyuki
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第25話:オークション警備


その日,俺となのはとフェイトははやてに部隊長室に呼び出されていた。
俺が部隊長室に入るとなのはとフェイトが既にいた。

「おっ,ゲオルグくんも来たな。ほんならメンツも揃ったし話を始めよか」

はやてはそう言うと,自分の椅子に腰掛けた。

「明日,ホテルアグスタで古代遺物のオークションが開かれるんやけど,
 その警備を私らでやることになりました」

「オークション会場の警備?なんでまた」

俺がそう聞くとはやてこちらに身を乗り出した。

「明日のオークションには取引許可の出たロストロギアも出品される。
 当然,指定ロストロギアであるレリックは出品されへんのやけど,
 ロストロギアがある以上ガジェットが出現する可能性はゼロやない。
 そやから機動6課で警備を行う」

はやてがそう言うと俺となのは,フェイトは頷いた。

「でや,私となのはちゃん,あとフェイトちゃんは会場内の警備をする。
 そやから,外の警備は副隊長とフォワード4人にやってもらう」

「んじゃ俺は隊舎でお留守番か?」

俺がそう聞くと,はやては首を横に振った。

「ごめんごめん。ゲオルグくんは外の指揮を頼むわ」

「了解。じゃあ,この前と同じでリインを借りるぞ」

「それはあかん。リインには私と中に居ってもらうから。
 そやから,広域探査と管制にはシャマルを連れて行く」
 
「ちょっと待て。それだと,隊舎にはほとんど戦力が残らないだろ。
 それに,はやてとなのはとフェイトが会場内の警備なのはどうかな」
 
「うーん。フェイトちゃんとなのはちゃんの意見は?」

はやてがそう言うと,フェイトとなのはが腕を組んで考え始めた。

「私ははやてに賛成かな。会場内の警備はあまり目立たないように
 やったほうがいいから人数は増やしたくないし」
 
「そうだね。それに中の警備は個人の判断力が重要になるから
 あの子たちにはまだちょっと荷が重いと思う」

フェイトとなのははそう言ってはやての案への賛意を表した。

「3人が会場内に回るのは了解。でも隊舎に戦力が残らないのは・・・」

俺がそこまで言うと,はやてはストップと言うように手のひらを俺に向けた。

「ほんならどうすんの?ホテル警備の戦力は今でもギリギリやで。
 いざとなったら隊舎は放棄してスタッフは退避させればええやろ。
 そのために,ゲオルグくんが退避計画を練ってくれたんやからね。
 それに,隊舎には交替部隊も残すし,ザフィーラもおるんやから
 対ガジェット戦やったら,そこそこ時間は稼げると思うんよ」

はやては机を指でトントンと叩きながらそう言った。

「了解。じゃあ,俺は両副隊長と明日の作戦について話し合ってくるわ」

「うん。頼むで,ゲオルグくん」



副部隊長室に戻った俺は,シグナム・ヴィータ・シャマルの3人を呼び集めた。
はやてから聞かされたことを3人にも話すと,本題に入ることにした。

「というわけで,俺が外の警備の指揮をとることになったわけだ。
 なので3人と作戦の打ち合わせをしておきたいので集まってもらった」

俺がそう言うと3人は頷いた。
俺はそれを確認すると,ホテル周辺の地図をモニターに表示した。

「ホテルの一方は市街地に面しており,もう一方は森だ。
 市街地側からガジェットが侵攻する可能性は低いと考えられるため,
 森側を正面として右側にスターズ,左側にライトニングを配置する。
 両副隊長には指揮をとってもらう。あと,シャマルは広域探査と管制な。
 でシャマルの警戒網にかかった敵を逐次殲滅ってのが基本戦術だな」

そこで言葉を切ると,ヴィータが口を開いた。

「なあゲオルグ。森側に陣取ったら市街地側にガジェットが出た時に
 対応が遅れねーか」

「ヴィータの懸念は判るけど,使える戦力が2個分隊ではね。
 まぁ,広域探査にシャマルもいるし,俺は,シャマルと
 ホテルの上で待機してるから,万が一の時は俺が時間を稼ぐさ」
 
ヴィータが頷いたのを確認すると,先を続けることにした。

「まぁ,敵の出方がわからない以上いきあたりばったりな作戦で
 申し訳ないが,あとは臨機応変に対応していくしかない。
 3人とも頼むぞ」

「おーっし,わかった」

「いいだろう」

「わかりました」



翌日,俺も含めた出動メンバーは,ホテルに移動するヘリの中にいた。

「っちゅうわけで,フォワードのみんなには外の警備を頼むからな。
 あとは,ゲオルグくん頼むで」

「了解。じゃあ細かい作戦は現地に着いたら説明するからな」

「「「はい」」」
「・・・はい」

4人のうちティアナの返事が遅れた。

(なんか考え込んでるな,後でフォローしとくか?)

ヘリが着陸すると,全員で一度ホテルのロビーに向かった。
フォワード4人とシグナム・ヴィータ・シャマルを集めて
作戦内容を説明していると,肌も露なドレスを着た
はやてとフェイトが現れた。

「・・・お前らその格好何?」

俺がそう聞くと,はやてが自慢げな顔を向けてきた。

「どうやー,ゲオルグくん。セクシーやと思わんか?」

「いや,まぁなんというか。うん,よく似合ってるよ2人とも」

俺がそういうと2人は少し頬を染めていた。

「ありがとう,ゲオルグ」

「なんや,ゲオルグくんにそう言われると照れてまうなぁ」

そこに遅れてなのはがやって来た。

「はやてちゃん,フェイトちゃん。遅れてゴメンね」

なのはの顔を見た俺は絶句した。

(うわ!ケバい・・・どこのキャバ嬢だよ・・・)

「・・・なのは,お前そのメイク誰がやったんだ?」

「え?自分でやったんだけど,変かな?」

「いや,変っていうか・・・なぁ?」

俺がティアナに話を振ると,ティアナが恨みがましい目で見てきた。

[ゲオルグさん,なんで私に振るんですか!?]

[いや,あれは何とかしないといかんでしょ]

[じゃあゲオルグさんから言ってあげてください!]

ティアナは念話でそう言うと,目をそらしてしまった。

「あのな,なのははもうちょっとナチュラルなメイクの方が似合うと思うぞ」

「・・・ナチュラルって?」

なのはが首を横に傾けてそう聞くので,俺ははやてとフェイトに助けを求めた。

「なのは,私も少しメイクが濃い気がするよ。ちょっと私と行こ」

フェイトがそう言ってなのはを連れて行った。

「よ,よし。じゃあ俺たちも配置につこうか」

「「「「・・・はい」」」」

俺がそう言うとフォワード4人を連れて警備の配置についた。



俺は,自分の配置場所であるホテルの上でシャマルと雑談をしながら
待機していたが,しばらくすると飽きてきたので
警備状況を確認するため,ホテルの周囲を見て回ることにした。
スターズの警備地点に行くと,ティアナが深刻そうな顔で
クロスミラージュを見つめていた。
俺は,ヘリでの様子も気になったので,ティアナに声をかけることにした。

「よう,ティアナ」

俺が声をかけると,ティアナは我に返ったようにはっと顔を上げた。

「どうかしたのか?ぼーっとして」

「・・・いえ,なんでもありません」

「なんでもないってことないだろ。
 ヘリの中でも心ここにあらずって顔してたし・・・
 何か悩んでることでもあるなら話してくれないか?」
 
俺がそう言うと,ティアナは少し逡巡してから口を開いた。

「・・・6課の中で私だけが凡人だなって思って・・・」

「凡人?ティアナが?」

「だって,隊長たちはオーバーSかニアSランクぞろいだし,
 キャロもエリオもスバルだって・・・」

「ティアナは天賦の才能やレアスキルだけが局員としての価値を決めると
 思ってるわけ?」
 
俺がそう聞くと,ティアナは俺の方を睨みつけた。

「だってそうじゃないですか!ゲオルグさんだってSランクの魔導師だし」

「ティアナはさ,まだ陸士養成校を出てまだ2年目だよな」

「そうですけど」

「俺が士官学校を出て2年目の時は俺も陸戦Bランクだったよ」

俺がそう言うとティアナは目を見開いた。

「そうなんですか?」

「うん。しかも士官学校出だからいきなり分隊長でさ。
 周りには俺なんかよりよっぽど優秀な魔導師がゴロゴロしてたんよ。
 俺はそのころ射撃とか砲撃魔法の類がド下手でさ。
 ポジション的にも全然指揮官向きじゃなかったよ」

俺がティアナの方に目を向けると,真剣な顔で俺の話に聞き入っていた。

「それに比べればティアナの射撃精度は抜群だし,
 指揮官としてのセンスもある。
 俺なんかよりよっぽど大成すると思うけどな」

「・・・そうでしょうか」

「ま,これからの努力次第だよ。焦ることはないと思うな」

俺がそう言った時,シャマルからの通信が入った。

『シャマルより各員へ,森林地帯にガジェットの反応出現。
 現在反応増大中。各隊は迎撃準備をお願いします』

「ロングアーチ02よりシャマル。距離は?」

『現在ホテルから600ないし700mの地点に出現中』

「ロングアーチ02了解。データを各員に送れ」

『シャマル了解』

俺は,レーベンにデータが転送されてきているのを確認すると,
ティアナに向き直った。

「ティアナ!今はとりあえず迎撃に集中しろ。
 無理はするなよ!いいな!」

俺がそう言うとティアナは少しつかえがとれたような顔で
返事を返してから,ヴィータたちの方へ走って行った。

「よし!俺たちも行くぞ,レーベン」

《はい,マスター》

 
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