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機動6課副部隊長の憂鬱な日々

作者:hyuki
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第24話:シュミット3佐のわりとヒマな一日


数日後,俺ははやてに呼ばれて部隊長室に来ていた。

「出張任務?」

俺が訝しげにそう言うと,はやては頷いた。

「そうなんよ,なんかロストロギアが発見されたらしいんよ」

「で,なんでうちが出動するのさ」

俺がそう言うと,はやては渋い顔になった。

「しゃーないやんか,カリムに頼まれてんから」

「ま,いいけどね。で,いつ出動するの?」

「今日。今から」

俺はそれを聞いてため息をついた。

「なんでもっと早く言わないのさ!」

「出動メンバーには言ったよ」

「出動メンバーって?」

「私とリインとスターズとライトニングとシャマル」

俺はそれを聞いて頭を抱えた。

「ちょっと待て!それじゃ隊舎にほとんど戦力が残らないじゃん」

「しょうがないやろ。行き先が私らの出身世界なんやから・・・」

「ついでに里帰りというわけ?」

俺がそう言うとはやてはニコニコし始めた。

「そうそう。そやからシャマルも連れて行ったらな可哀想やろ」

「へいへい。で,俺はお留守番ってわけね」

「うん。よろしくお願いします!」



1時間後,はやてをはじめとする出動メンバーを乗せたヘリが
転送ポートに向かって飛び立つのを,俺はグリフィスと屋上で見送った。

俺とグリフィスは,発令所に向かうことにした。

発令所では通信担当のアルトとルキノがお菓子を食べながら
おしゃべりをしていた。

「おーい2人とも,はやてがいないからってあんまりハメ外すなよー」

俺が普段ははやてが座っている部隊長席に座りながらそう言うと,
2人は俺の方を振り返りながら口を尖らせた。

「えー,いいじゃないですかーお菓子くらい」

「そうそう。副部隊長だって自分の執務室にお菓子溜め込んでるんだし」

この2人には,ひょんなことから俺の秘密のお菓子スペースを
発見されてしまっていた。

「食べるのはかまわねーから,こぼすなよ。そのへんの機械は高いんだから」

「「はーい」」

俺はその返事をきくと,個人用端末を取り出して、普段は自室でやっている
調べ物を始めた。



時々休憩しながら調べ物を続けていると,昼になった。
俺は,相変わらず賑やかにおしゃべりを続けているアルトとルキノに言った。

「アルトにルキノ。ここは俺らが詰めてるから,先に昼食べてきていいぞ」

俺がそう言うと,2人は満面の笑みを俺に向けてきた。

「え?いいんですか?じゃあ,お先に頂いてきまーす」

発令所を出ていく2人を目で追っていると,大口を開けてあくびをしている
グリフィスと目があった。

「・・・すいません」

「いや,わかるよ。暇だもんな」

「そうなんですよね。例の緊急事態対処訓練も,
 各隊から問題点を再度上げてらっているところですし」
 
「だよな。今ちょうど仕事がないんだよなぁ。普段勤勉に仕事すると
 こういう時に暇をつぶせる仕事がないんだよなぁ」
 
「ゲオルグさんはさっきから何やってるんです?」

「ん?これは俺の個人的な調べ物。普段は夜やってるんだけどね」

「・・・お手伝いさせてもらえませんか?」

「それはダメ。お前に見せられる類のものじゃないから」

俺はそう言いながら,いい暇つぶしを思いついた。

「なぁグリフィス。一局どうだ?」

俺は右手の人差し指と中指を立てて,グリフィスに聞いた。



30分ほどすると,アルトとルキノが戻ってきた。

「「ただいま戻りましたー」」

「おう,お帰りー」

俺が生返事を返すと,アルトが話しかけてきた。

「副部隊長とグリフィスさんもお昼にしたらどうですか?」

「いや,今いいとこだからいいよ」

俺がそう言うとルキノが興味津々とばかりにこちらに近づいてきて,

俺とグリフィスが向かい合って見つめているものを見た。

「なんですかこれ?なんか白いのと黒いのがいっぱい並んでますけど」

「ん?これ?これはな,イゴっていうはやて達の出身世界のゲームだよ。
 前にシグナムから教わってやってみたら面白くてね」
 
俺は白石を盤上に置きながらルキノに答えた。

「えーっ!じゃあ2人は遊んでるんですか?」

アルトが不満そうに言った。

「しょうがないでしょ。僕もゲオルグさんもやることないんだし」

グリフィスが黒石を盤上に置きながらアルトに答えた。

「えーっ!ずるーい。じゃあ,あたしの仕事手伝ってくださいよー」

ルキノが両手を腰にあてて言った。

「それはダメ。自分の仕事は自分でやりんさい」

「いいじゃないですかぁ。どうせゲームで遊んでるくらい暇なんだし」

「じゃあ手伝ってもいいけど,ルキノは減俸」

俺がルキノの鼻先に指を突き出してそう言うとルキノはピシリと固まった。

「そういえば,先月の収支報告書がまだ出てないよな。グリフィス」

「そうですね。僕は見た覚えがないです」

俺とグリフィスは揃ってルキノを見た。

「「手伝おうか?」」

「うぅ。自分でやります・・・」

そう言ってルキノは自分の席に戻った。



「やれやれだね」パチッ

「そうですね」パチッ

「あ,そこに割り込まれたかぁ」パチッ

「ゲオルグさん,待ったは無しですよ」パチッ

「いやいやここが手抜きになってるよ,グリフィスくん」パチッ

「やぁーってられるかぁーっ!!」

ルキノはそう叫んで立ち上がった。

「遊ぶんだったらよそでやって下さいよ,2人とも!」

「うん,それはダメ。俺は部隊長代理としてここにいないといけないから」

「ゲオルグさんがここにいるなら僕も副官としてここにいないと」

「だったら,2人とも仕事してくださいよ」

「「ない」」

俺たちがそう答えると,ルキノがプルプルしはじめた。

「なんでですか!?いっつもあんなに忙しそうなのに!」

「いつも真面目に仕事してるから,今日はたまたま暇なんだよ」

「じゃあ私を手伝って下さい!」

「だから,それは構わないけど,ルキノは減俸な」

俺がそう言うと,ルキノは”おーぼーだー!!”と叫んでどこかに行った。

「やれやれ,あいつはカルシウムが足りないな・・・それともあの日か」

俺がそう言うとアルトが呆れたような顔を向けてきた。

「いやいや,副部隊長がいじめるからですよ。あとさっきのはセクハラです!」

「いじめるなんて人聞き悪いなぁ。俺は正論を言っただけだぞ」

「いや,まぁそうなんですけど。遊んでる人に仕事しろって説教されたら
 腹立ちませんか?」
 
「あいにくと,仕事しすぎだとか休暇とれって説教を食らったことはあっても
 仕事しろって説教をされたことは生まれてこのかた一度もないんでね」

「うぅ~。グリフィスさんは私と同意見ですよね?」

アルトがグリフィスに話を振るが,グリフィスは首を横に振った。

「僕もゲオルグさんと同じなんで」

グリフィスがそう言うとアルトは”ちっくしょー!”と叫んでどこかに行った。

「あいつら勝手に持ち場を離れやがって。ホントに減俸してやろうか」

「さすがにそれは可哀想ですよ。あと,セクハラ発言はまずいかと」

「へいへい」



こうして,俺のワリと暇な一日は過ぎていくのだった。

 
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