前からそうだった二人

　　　　　　　　　　　　　　　　前からそうだった二人
　国咲家の息子洋介は親戚の集まりがあってその後で宴会になった時に本家の主のところに行ってだった。
　何かと話を聞いた、そこでだった。
　ふとだ、彼はふわりの前の飼い主だった百田家の夫婦最早禁治産者認定され全てを失い廃人になっている二人のことを尋ねた。
「あの時の法事でだけれど」
「ああ、あの二人追い出してな」
「もう縁切ったな」
「あの時のことか」
「一発でそうしたな」
「飼っていた犬を捨てたって平気で言った瞬間にな」
「誰も反対しなくてな」
　それでとだ、洋介は本家の主と共に飲みながら話した。
「皆で追い出してすぐにな」
「縁も切ったな」
「あの時皆ですぐにそうしたけれど」
「それがどうしてか」
「ああ、親父はあの人達飽きっぽいって言ってたけれど」　
　それでもという顔で言うのだった。
「何で皆ああしたんだよ」
「お前はそのこと知らないな」
「そのこと？」
「あいつ等よりずっと年下で付き合いもなかったからな」
「あまりなかったな、実際」
　付き合いはとだ、洋介も答えた。
「時々家に行ってたけれどな」
「そうだったな」
「二人共悪い印象はなかったんだよ」
　洋介としてはというのだ。
「別にな」
「それは付き合いがあまりなかったからでな」
「他の親戚の人達は違うんだな」
「お前の親もな」
　その二人も見つつ洋介に話した。
「あいつ等を昔からよく知ってるんだ」
「どういった人達か」
「ああだったんだ、子供の頃からな」
　二人共とだ、本家の主は握り寿司の鮪を食べつつ話した。
「あいつ等は。飽きっぽくて自分勝手でな」
「命を何とも思わなくてか」
「何でも平気で捨てて裏切ったりもな」
「してたんだな」
「いつもな、誰が何を言ってもな」
「変わらなくてか」
「実はかなり嫌われていたんだ、特に女の方がな」
　妻の方がというのだ。